第3話 ギルドの拠点決定
お世話になっております。
ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。
冒険者協会を出てしばらく歩くと目的の場所が見えてきた。
4階建ての建物で、1階の入り口には『三日月亭』と書かれた看板がぶら下がっている。
ーーカランコロン。
中に入ると落ち着いた空間が広がっており、バーのような感じになっている。
広くもないが、狭くもないといった感じである。
「いらっしゃい……ってタカラ君じゃないですか。久しぶりですね。お酒を飲みに来たにしては少し早い気がしますが。もしかして今日は情報が目的ですか?」
そう言って出迎えてくれたのは、ダンディーな感じのおじさんで、この店のマスターのロキである。
「いや、今日はどちらでもないんですけど……とりあえずお酒をお願いします」
「かしこまりました」
そう言ってロキはいつものお酒を出してくれる。
タカラはここに久しぶりに来るが、いつも頼んでいるお酒が当たり前のように出てくる。
(やっぱりロキさんといると落ち着くね)
タカラはそう思いながら、お酒を少しずつ飲んでいく。
「今日はマキはいないんですか?」
タカラは問う。
マキとはこの店でバイトをしている看板娘である。
マキはとても人気者であり、マキが出勤している日の売り上げはいつもの2倍以上になる。
タカラが店を訪れたときはだいたいいつもいるのだが、今日は姿が見えない。
「マキは今日お休みです。あとでタカラ君が来たと知ると残念がるでしょうね。彼女はタカラ君のファンですから」
ロキはそう答える。
そんなこんなでしばらくの間雑談をしていたのだが、
「それで今日は何が目的で来たのですか? まさかただお酒を飲みに来ただけということはないでしょう?」
とロキのほうから話を切り込んできた。
ここにはお酒だけ飲みに来る日もあるが、今日はそれだけではないと感づいたようである。
(やはりロキさんにはかなわないね。観察能力がずば抜けてる)
タカラはそう思いながら今日ここに来た目的を話し始める。
「実は今日ギルドを設立して来たんです。それで無事設立できたんですけど、ギルドの拠点がまだ見つかってなくて……」
「タカラ君がギルドを……いいじゃないですか。タカラ君ならきっといいギルドを作り上げるでしょう。しかし……なるほど。言いたいことはだいたい予想できました」
ロキはタカラの求めていることを理解した様子でそう言う。
(さすが、理解が早くて助かるね)
タカラがそう思っていると、ロキが続けて、
「ここをギルドの拠点にしたいということですね? そういうことでしたら私は全然かまいませんよ。2階より上の階は使っていませんしね。自由に使ってもらって構いませんよ」
そう言ってロキは快くギルドの拠点として使うことを許してくれる。
「ロキさん、ありがとうございます! ここを拠点にできればより良いギルドが作れます!」
「そういっていただけて何よりです」
そう言ってロキはニコッと笑う。
「それともう一つお願いがあるんですけど……」
タカラはロキの顔をうかがいながらそう言う。
ここをギルドの拠点にするのは多分許してもらえるだろうとタカラは予想していた。
なので、タカラにとっての本番はここからであった。
「もし可能ならロキさんにギルドのサブマスターになってもらいたいんです」
タカラは祈るようにそう言う。
サブマスターとは、ギルドで2番目に高い地位である。
「……私がサブマスターですか。それは予想できませんでしたね。しかし、私は店の切り盛りもあるのでどうしたものか……」
ロキは困った顔でそう言う。
ロキが腕を組んでどうしたらいいかと悩んでいると、
「僕はただギルドを作りたいだけじゃなくて、世界一のギルドを作りたいんです。そのためにはロキさんの力が必要不可欠だと思っています。お願いです、力を貸してください」
タカラはそう言いながら自分の作るギルドに対しての熱意をこれでもかと伝える。
ロキはしばらくの間黙り込んでいたが、ほどなくして
「わかりました。私でよければ引き受けましょう。タカラ君の熱意も伝わりましたし、私もやるなら本気でやりたい性分なんです」
ロキはそう言ってサブマスターの件も了承してくれる。
「本当ですか!? ありがとうございます! ロキさんが居てくれればきっといいギルドが作れる!」
「そこまで私を評価してくれているとは嬉しいです。まあ、私はもう冒険者を引退した身なのであんまり役に立つことはできませんが」
ロキは申し訳なさそうに笑いながら言う。
「そんなことないですよ。ロキさんは元A級冒険者だし」
タカラはそう言ってロキのステータスを確認する。
ステータス
体力:A
魔力:C
パワー:A
スピード:A
知力:A
器用さ:B
スキル:『分身』
(やはりステータスはすごいね。安定感抜群だ。それにロキさんに求めているのはそこじゃない)
タカラはステータスを確認し終えると続けてロキに話しかける。
「それに、ロキさんには主にギルドメンバーのケアや情報収集をしてもらいたいんです」
タカラはそうロキに伝える。
ロキの強さはもちろんだが、タカラが一番求めていたのはロキの鋭い観察力や情報収集力であった。
(ロキさんの鋭い観察力はギルドメンバーにアドバイスをしたり、不安を解消してあげたりするのにうってつけだ。それに、スキルの『分身』は情報収集に非常に役立つ。これを生かさない手はない)
事実、ロキは今までもこのスキルを使って情報収集を行っていた。
また、ロキは人柄もよいので、店の客からもよく情報を仕入れていた。
そうして得た情報を信頼できる者に提供したり売却したりもしていたのだ。
「なるほど。私はタカラ君のことをよく理解しているつもりでしたが……タカラ君も私のことをよく理解している」
ロキはそう言って深くうなづく。
「ロキさんは基本的にここにいて、縁の下の力持ちとしてギルドを支えてほしいんです。だからお店も今まで通り営業してもらって構いません」
タカラは笑顔でそう言う。
「タカラ君、ありがとうございます。確かに私にふさわしい役回りです」
こうしてロキはギルドのサブマスターになることとなった。
「ところでタカラ君。今ギルドメンバーは何人いるのですか?」
ロキがタカラに何気なく聞く。
「……実はまだ一人もいないんです」
タカラは苦笑しながら答える。
「そうですか。世界一のギルドへの道のりはまだまだ遠いですね。ですが焦ることはありません。一歩ずつ進んでいきましょう。私もいい人がいないか情報を集めてみます」
ロキは落ち着いた口調でタカラにそう言う。
(やっぱりロキさんを仲間にしてよかった)
ロキのいる安心感はこの先ずっとギルドには必要不可欠なものになるだろう。
(しかし、いい人材がすぐ見つかるといいんだけど)
そう思いながら悩むタカラであった。
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初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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