第24話 複合魔法
お世話になっております。
ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
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「並列魔法にはさらに上の使い方がある。それは複合魔法だ」
タカラがブランにそう言うと、
「複合魔法!? なにそれ、かっこよさそうだね!」
ブランは目をキラキラさせながらそう言う。
「1つの魔法で発動できるのは一つの属性のみだから普通ならば複合魔法を使うことはできない。でも、ブランのスキル:<並列魔法>があれば2つ以上の魔法が同時に発動できるから違う属性を組み合わせて複合魔法を使うことができるんだ。同じ属性を組み合わせてより強力な魔法を発動させることもできる」
タカラはそう言うと2つの魔法を発動させる。
「“炎風龍の神撃”」
タカラがそう唱えると、それぞれに発動された、炎龍と風龍の姿をした魔法が螺旋を描きながら合わさっていき一匹の大きな龍となる。
そして、炎と風の相乗効果により、さらに大きな炎となって空へと舞い上がる。
「とまあ、こんな感じかな。今のは一つの例に過ぎない。魔法の組み合わせ方はその人の想像力次第だから無限大だ。もちろん、属性には相性があるから気を付けてね」
「わかった!」
ブランはそう言うと、さっそく自分でやってみるようだ。
ブランは2つの魔法を発動させる。
「“炎魔鎧の岩石兵”」
ブランがそう唱えると、土属性魔法で作られたゴーレムに炎がまとわりつく。
一見成功かと思われたが、炎がすぐにかき消されてしまう。
「成功とはいかなかったけどいいセンスしてるよ」
タカラはそう言うが、ブランは黙ったままである。
ブランは珍しく悔しそうな顔をしている。
今までタカラに言われたことはすぐにやってみせたブランであったが、複合魔法はそんなに簡単ではないようだ。
(さすがのブランも複合魔法を一発で成功とはいかないか。複合魔法は緻密な魔力コントロールが必要となる。ただ魔法を何個か同時に発動させるだけとはわけが違う。でも、複合魔法をマスターする頃にはスキル:<並列魔法>もかなりレベルアップしているだろうね)
タカラは複合魔法に苦戦しているブランを見ながらそう思う。
(何か壁にぶち当たり、それを乗り越えるという経験も必要だ。しばらくは口出ししないで見守っていよう。それに、ブランは1人で克服するだけの力は持っているはずだ。ブランを信じよう)
タカラはそう思い、ブランを遠くから見守るのであった。
その頃テルルは町に戻り、人通りの多い道を歩いていた。
(散歩って言われてとりあえず町に戻ってきてみたけど……これからどうしよう。何したらいいんだろう……)
そう思いながらとぼとぼと歩く。
「嬢ちゃん、元気ねーな。これやるから元気だしな!」
テルルはお店の人に声をかけられ、果物を2つもらう。
「あっありがとうございます」
テルルは慌ててお礼を言う。
(そういえば、ここの道通るの久しぶりだなー。いろんなお店が並んでいるから、昔はよくお母さんと来てたっけ。今では忙しくて来なくなっちゃったけど……)
テルルはそう思い、昔を思い出す。
すると、急に寂しさがこみ上げてきて、お母さんに会いたくなる。
(散歩がてら実家に帰ってみよっかな)
テルルはそう思うと、実家を目指して歩きだした。
テルルは実家に着くと家の前で立ち止まる。
町のはずれのほうにポツンとある一軒家だ。
家の周りは多くの自然に囲まれている。
「ただいまー」
テルルは家に入る。
昔と何も変わってない。
なんだか懐かしいにおいもする。
家の奥から2匹の犬が姿を現し、しっぽを振りながらテルルに飛びつく。
「もう、くすぐったいよ。チョコ、ココ、ただいま」
テルルはそう言いつつも、とても嬉しそうだ。
「あらテルル、おかえり。元気にしてた?」
もう何年ぶりだというのに、テルルの母は笑顔でそう出迎えてくれる。
「ただいま、お母さん。うん、元気にしてたよ」
「テルルが元気ならそれでいいんだよ。お茶入れてあげるから座ってなさい」
「うん」
テルルはそう言って椅子に座る。
テルルが椅子に座ると、その隣にチョコとココもおすわりをする。
テルルは家の中を見回す。
(やっぱり家は落ち着くなー)
しばらくするとテルルの母がお茶を持ってくる。
甘いお菓子も一緒だ。
「テルルこれ好きだったよね」
テルルの母はそう言い、お茶と一緒にお菓子をテルルの目の前に置く。
「懐かしー!」
テルルはそう言い、お菓子を口に運ぶ。
「そういえばお父さんは?」
「裏庭にいると思うわよ。後で行ってあげて」
「うん」
テルルはそう言いながらお茶をすする。
お茶を飲み終えるとテルルは裏庭へと向かう。
裏庭に行くと、テルルの父が座って本を読んでいた。
「お父さん、ただいま」
「テルルか? 久しぶりだな、元気にしてたか?」
「うん、元気だよ」
「そうか、元気ならいいんだ」
テルルの父はそう言いながら再び本を読み始める。
(お母さんと同じこと言ってる)
テルルはそう思い、心の中でフフッと笑う。
「ワン!」
気づくとチョコとココが裏庭で一緒にじゃれ合っている。
(私も昔はよくここで遊んだなー。迷子になってお父さんがチョコとココを連れて探しに来たこともよくあったっけ)
テルルの頭の中に昔の思い出がよみがえる。
(そうだ! 久しぶりに裏庭を散歩しよう!)
テルルはそう思い、裏庭のさらに奥へと入っていく。
チョコとココも一緒である。
裏庭には自然がいっぱいに広がっている。
木々が生い茂り、風に揺られてざわざわとざわめく。
木々の隙間からは太陽の光が差し込んでおり、自然の緑をより映えさせる。
木々の間には小川が流れ、太陽の光を浴びてキラキラと光っている。
耳を澄ますと、遠くから鳥のさえずりが聞こえてくる。
「ここってこんなにきれいな場所だったんだ……」
テルルは改めて自分が育った場所の魅力に気づく。
チョコとココも嬉しそうに走り回っている。
(私……タカラが言っていたこと、なんとなくわかったかも)
テルルはそう思うと目をつむり、自然の中でたたずむ。
(全身が……心の中まで癒される……この感覚を忘れないようにしよう)
テルルはそう思いながら、もうしばらくの間その場にたたずむのであった。
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