第21話 最強と模擬戦①
お世話になっております。
ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでいただきありがとうございます。
誤字・脱字、おかしな点がありましたら教えていただけると嬉しいです。
今日も5話分投稿したいと思います!
セトとムサシはある一軒家の前に緊張した面持ちで立っている。
昨日タカラにここに行くように言われたのだ。
「……緊張するね、ムサシ」
「……うん」
「ムサシ、ドアノックしてよ」
「……こういうのはセトから行ったほうがいいと思う」
どうやら2人とも緊張しすぎてドアをノックすることすらためらっているようだ。
しかし、この家の主はかの有名なカインである。
最近冒険者になった2人がこのような反応をしてしまうのも無理はない。
どちらがドアをノックするかで2人が口論していると、
「お前ら、そんなとこで何してんだ?」
2人の後ろからそう声が聞こえる。
セトとムサシが振り返ると、そこにはカインが立っていた。
どうやらカインは家を出ていて、今帰ってきたところのようだ。
「かっ、カインさんですか?」
セトが慌てて聞く。
「おう、俺がカインだ。お前らがタカラのギルドのメンバーの2人だな? タカラから話は聞いてるぜ」
「はいっ、そうです! セトといいます! よろしくお願いします!」
「ムサシといいます! よろしくお願いします!」
2人は緊張したままそう言う。
「おう、よろしく。俺はタカラみたいに甘くないからな。お前らしっかりついて来いよ」
「「はい!」」
セトとムサシは元気よく返事をする。
「ここじゃ狭いから場所を移すぜ」
3人は雑談をしながら町の外にある高原に場所を移す。
「ここなら誰の邪魔にもならないだろ」
カインはそう言い、セトとムサシのほうを向く。
「じゃあ、これから修行を始めていこうと思うんだが……といってもお前らの実力がわからねえと話にならねえ。まずは2人とも俺と模擬戦だな。まずはセトから」
そう言ってカインはセトを指名する。
「はっ、はい!」
セトはいきなりカインと戦うことになり動揺しているようだ。
「おいおい、そんなに緊張してたら普段の実力出せないだろ? 実力を見るだけだから肩の力抜いて気楽に来いよ」
カインはそう言う。
「わかりました!」
セトはそう言うものの緊張は取れていない。
しかし、カインといきなり戦うことになって緊張しないほうが無理な話である。
「ふぅぅー」
セトは目をつむり深呼吸をする。
そして目を開きレイピアを構える。
セトの目つきが鋭くなり、周りの空気が変わる。
(緊張しすぎて話にならないんじゃないかと心配していたが、いらない心配だったな。いい空気感だ。こいつは大物になりそうだな)
カインはそう思いながら剣を構える。
(武器はレイピアか。かなり軽そうだがパワーが低いのか?……ただあのレイピア、不思議な感じがするな。何かあるのか?)
セトの構えを見ながらカインは分析を始める。
「ほら、来いよ」
カインがそう言うと、セトは目にもとまらぬ速さでカインとの間合いを詰める。
(速いな、スピードは俺と同じくらいか?)
カインはそう思いながら、セトの鋭い突きをいとも簡単に剣の刀身で受け止める。
そして、そのまま振り払い、セトを後退させる。
(やはり、パワーはそんなになさそうだな)
カインはそう思う。
セトは自分の攻撃がたやすく受け止められたことに驚きつつも、カインから距離をとり体勢を整える。
次にセトは、ものすごい速さでカインの周りを移動し攪乱しようとする。
サウザンドウルフとの戦いで見せた戦法である。
カインの周りを高速で移動しながら攻撃を加えていくものの、すべて防がれてしまう。
(……なんで? まったくかすりもしない……)
セトはそう思いながら焦る。
その焦りが自分の動きにも現れ始め、攻撃が少しずつ雑になっていく。
セトの攻撃をカインが完璧にさばくという光景がしばらく続いていたが、セトがカインに攻撃を加えようとした瞬間、突然セトの動きが止まる。
セトの喉元にはカインの剣の剣先があった。
「セト、もういいぞ。だいたいわかった」
カインはそう言うと剣をしまう。
セトはその場を動かない。
いや、動けないのだ。
セトは大量の冷や汗をかいている。
もちろんカインはセトに剣を当てるつもりはなかったものの、あと少し自分が踏み込んでいれば死んでいたという事実にセトは恐れを抱いた。
(こんなにも差があるなんて。サウザンドウルフを倒して少し浮かれていたのかな? こんなことでは世界一のギルドを目指すなんて夢のまた夢だわ)
セトはそう思いながら歯を食いしばる。
もちろんセトは浮かれてなどいない。
タカラから出される課題も毎日しっかりとこなしている。
単純にカインが強すぎるのだ。
冒険者ランキング1位にもなったことがある実力は伊達ではない。
「悔しがってくれているようでよかったぜ。俺との差に絶望して冒険者やめるなんて言いださないか心配していたからな……大丈夫だ、お前は強くなる」
カインはセトの目を真っすぐ見ながらそう言い切る。
カインとセトは今の戦闘を振り返る。
「そうだな……まずセトの戦い方だが、自分のスピードを生かして戦うのはいいと思うぜ。セトはスピードで言えば俺とほぼ変わらないし、自分の長所がわかっている戦い方だ。ただ、攻めのバリエーションが少ないな。今回みたいにスピードが拮抗している場合、攻め手の多いほうが断然有利だ。といってもすぐに増やせるものでもない。これからの俺との修行で経験を重ねながら増やしていこう」
カインがそう言うと、セトは真剣な表情でうなずく。
「それと……お前なんで魔法を使わなかった? エルフなのに魔法が使えないのか?」
カインが不思議そうに問う。
「あっ……緊張していて忘れてました……」
セトははっと気づいたように言う。
「エルフなのに剣を持たせているということは、タカラはお前を魔導剣士にしたいんだろうな。だが、意識していないと魔法が出せないようでは魔導戦士としてはまだまだと言わざるを得ない。息をするときわざわざ意識してしないだろ? 剣を使いながら、息をするように魔法を使えるようになるんだ。今後俺と模擬戦をするときは最低5回魔法を発動させるように」
「はい!」
セトは元気よく返事をする。
「それと……」
カインは何か言おうとするがやめる。
(レイピアについても聞こうと思ったがあまりたくさん言いすぎても混乱するだけだしな。また今度にしとくか)
カインはそう思い、しゃべるのをやめる。
(たった1回のわずかなやり取りでここまで分析できるなんてさすがカインさんだわ。カインさんについていけば間違いない!)
セトはそう思うと、早く修行がしたくてうずうずするのであった。
読んでくださりありがとうございます!
初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
もしよろしければブックマークに追加、そして下の評価☆☆☆☆☆を押して応援していただけると嬉しいです。
モチベーション上がります!
そして、コメントや感想などもお待ちしています!
よろしくお願いいたします。




