第1話 S級パーティー解散
はじめまして。ヘイホーみりと申します。
この作品を選んでくださりありがとうございます。
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ここは始まりの町「コト」
この町のとある酒場にて、とある5人組が思い出話に花を咲かせていた。
「あの時のドラゴン退治でカインはすごいキレてたよね。お気に入りの防具壊されて!」
「タカラに言われたくねーよ。キレたら一番怖いのはお前だからな!」
「それは確かにのう」
「それは間違いないわね」
「まぁ、その点では異論はないね」
飲み始めてからすでに6時間、アルコールが入っていたせいか、ずっとこの調子である。
5人は世界で最も有名なS級パーティー『神秘の陽樹』のメンバーである。
初めてパーティーを組んでからもう20年。
思い出話に花が咲くのも無理はない。
「でも寂しいね、今日で解散なんて」
「……」
パーティー唯一の女性であるミラの一言で静まり返る。
みんなそう感じつつも、寂しさを紛らわすように盛り上がっていたのだ。
「みんなすまんのう、ワシのせいでパーティーを解散してもらうことになって……」
パーティーでひときわ背の小さい、ドワーフのジュゴンが申し訳なさそうに言う。
「ジュゴンが悪いわけじゃないよ。もう思うように体が動かないわけだし、齢にはあらがえないね」
タカラはすかさず否定する。
「そうだぞ、誰か一人でも欠けたらそれはもう『神秘の陽樹』ではない。解散は必然だ」
パーティーのリーダーであるカインもそのように言う。
他のメンバーも深くうなずいている。
そしてしばらくの間沈黙が続く。
申し訳なく思ったのか、ジュゴンが話し始める。
「そういえば、解散した後お前さん達はどうするんじゃ?」
「俺は家族とのんびりだな。お金のために冒険者もたまにすると思うけど」
カインは言う。
「私は当分は冒険者かなー。夫もいないし」
ミラはつまんなそうに言う。
(ミラはかわいいし、絶対モテるだろうに)
タカラはそう思いながらも口には出さない。
ミラの恋愛話につながるようなことは口に出さないほうがいいと長年の付き合いでわかっているのだ。
「俺も冒険者かなー、魔法ぶっ放したいし。でも拠点は魔法都市にすると思う」
パーティーの魔導士であるトルーは言う。
(魔法都市か、確かに魔導士であるトルーにとってはそのほうがいいね)
タカラはうなづきながらそう思う。
この世界で魔法都市というと、たいていは魔法都市「フースイ」のことを指す。
魔法都市「フースイ」では魔導士が優遇される。
トルーほどの魔導士であればなおさらだろう。
それもあっての選択だろうとみんな納得する。
「タカラはどうするんじゃ?」
ジュゴンの一言でみんなの注目がタカラに集まる。
「僕は世界一のギルドを作ろうと思う」
タカラがそう言うと、みんなは驚くように目を見開いている。
「世界一って……あんたこの世界にいくつギルドがあると思ってんのよ。星の数ほどあるのよ?」
ミラはあきれたように言う。
「世界一とは大きく出たね。一筋縄じゃいかないよ?」
トルーも心配そうにしている。
「わしも難しいと思うのう……もちろんタカラのことを応援はしているが……」
ジュゴンも少し困ったような顔をしている。
しかし、リーダーであるカインは違う。
「いいじゃねーか、世界一! 『神秘の陽樹』のメンバーならそのくらいは成し遂げてもらわねーとな! お前のスキルは今までパーティーをいつも助けてくれたが、ギルドを作っていく上でも役に立つと思うぜ!」
カインは目を輝かせながらそう言う。
(やはりカインにはかなわないね。どんな逆境であっても毎回背中を押してくれる)
カインはそう思いながら大きくうなづく。
「解散はするが、俺たちはいつまでも『神秘の陽樹』のメンバーだ。お前が困っているときはいつでも助けに行く! お前らもそうだろ?」
カインはそう言って他の3人のほうを見る。
「ったく、しょーがないわねー」
「そう言われると応援するしかないよね」
「当り前じゃ」
3人はそう言って笑いながら、温かい目でタカラのほうを見る。
「みんなありがとう!」
タカラは少し涙ぐみながらみんなにそう伝える。
「お前泣いてんじゃねーか! おい、みんな見ろ! タカラのやつ泣いてるぞ!」
「あんたやめなさいよ。せっかくいいこと言ってたのに」
「まあまあ、いつものことじゃ」
「飲もう、飲もう!」
また先ほどのような盛り上がりが戻ってきた。
(たとえどんなに難しいことでも僕にはみんながついてる。今までだってみんながいればどんな困難も乗り越えてこれたんだ。みんなのためにも必ず世界一のギルドを作ってみせる!)
タカラはそう思いながらまたみんなと盛り上がるのであった。
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初めての小説投稿ではありますが、小説化、漫画化目指して頑張ってます。
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