1の6 大騒ぎの入学式④
作者(よし、そうだ、いいぞ、もっとやれ。)
アレン「」おぉん?
作者((^з^)-☆オワタニエン)
ワァァァ
パチパチパチパチ
満員の集会室から割れんばかりの歓声と拍手が僕達を迎えた。
「わぁ...」と呆気にとられてしまう。
「アレン様、アレン様。」
おっといけない。僕が呆気にとられてちゃだめだ。
「あ、ごめん行こっか。」
「はい!」
そうして僕達はレッドカーペットを歩き出した。すると一瞬だけ拍手が止んだ。
あれ?僕なんかやらかしたかな。ちゃんと入る時礼したし大丈夫だよね?
拍手もすぐに持ち直すと、同時に前世でいう吹奏楽が曲を引き出した。
あれ!?これウェディングの曲じゃないか!?あ、違うだいぶ似てるけど少しづつ違う。
そして一瞬だけ拍手が止んだ理由だが、最初に入ってきた2人が綺麗すぎて、様になりすぎていて、見惚れて一瞬拍手を止めてしまったのだ。音楽部隊も動揺である。
何これ?あらやだ私ったら物語の世界に迷い込んじゃったのかしら?そう思う人が大量発生。
「見て!あの王女様をエスコートしてる子。メチャクチャかっこよくない!?」
「セフィリア様...持ち前の可愛さもあるが...お美しい...」
「白い制服に、白いドレス...あれ?これ結婚式だっけ?そっか。」
そしてしまいには...
「セフィリア様が!おいお前ら...あ、あの男、やっつけちまうぞ...!」
「...無理です!隊長!我々では...敵いません!グッ!」
すでに発足していたセフィリア王女様を見守る会の連中でさえグッドサインをだす始末である。隊長と呼ばれた青年もそれに乗じて「そうだな、グッ」と言う始末である。
そんなことを言われている中、アレンは
(どーしよぉ...思ったよりキツイぞぉーこれー)
と、そんな声を聞く心の余裕はまるでなかった。
後ろを付いてくるクラスメイトは周りを気にする者半分、胸を張ってしっかり入場する者半分といった感じである。
メィリィとシルビアは素直に
(いいなぁ...)
と普通に羨ましがっていた。
ルサイユはニヤニヤしていて、この後どういじってやろうかと考えていた。
マチルダは「アレン、貴方度胸あるわね...」
と普通に賞賛していた。
モゾモゾ
ん?
(なんか...面白い事になってますねご主人様...)
(エメル!?)
エメル復活!
(フフ、なんでこんな事になったんでしょう。)
(何で笑うのさ......それは僕の方から聞きたいかな。)
隣のフィアを見るとフィアは落ち着いた表情で......少し笑みを浮かべて歩いていた。
彼女の身に纏うドレスも相まってまるでお嫁さんである。
な、なんて居心地の悪さ...
そして天国のような時間も終わりがきた。
僕やルサイユのような奇偶数番号の生徒は右側に、フィアやメィリィ、シルビアは奇数番号なので左側に向かう。
フィアは惜しむように手を離すとニコッとこちらを見て微笑んだので、僕も控えめな笑顔で返した。
そして左右に分かれて、着席した。
後ろには他のクラスの子がいるので、入場はまだまだ続く。
side 右側
「いゃあとても、良い入場だったねアレン君。」
そう言ってニヤニヤバンバンと肩を叩く腹黒公爵。
くそう。
「ほんとです、フォード君、めっちゃかっこよかったですよ。」
そう言ったのはルサイユの二つ隣に座る茶髪混じりの黒髪をした少年だった。
ちなみにルサイユの隣にはマチルダが座っている。
「えーと、君は?」
「あ、僕はエレクって言います。エレク・アリです。城の近くでアリ工房っていうのやってるんですけど、知らないですか?」
ごめん、初耳。
「そうだよな!そう思うよな!アリ!」
そうルサイユが食いつく。
「どうだもうお嫁にもらったらどうだ!はっはっは!」
やっぱり煽ってくる。こいつめ。
「そ、それならルサイユがもらえばいいんじゃないかな!?ほ、ほら、公爵なら身分も釣り合うでしょ!」
そうルサイユにやり返しも含めて言う。
「アレン...お前、本気か?そういうのはあの三人の前で言わない方がいいぞ?」
急に真剣な顔をして言ってくるルサイユ。
え?なんかまずい事言ったかな...?
あの三人とはフィア、メィリィ、シルビアの事を言うのだろう。
「それに、ほら、俺マチルダと婚約してるし。マチルダ一人いれば十分。」
そう言ってマチルダの肩を抱き寄せる。
「え......ええええええええ!?!?」
「ちょ、ちょっと...バカなの貴方!?」
「あれ?言ってなかったのか?」
「言うわけないでしょ!?」
そう言って顔を赤くする。おぉそんな一面があるのか...驚きだ。
「あ、僕にも婚約者いますよ。」
とエレクが言う。
それは聞いてないわぁ。
side左側
「あ、あの、王女様、とてもお綺麗でした。」
そう口を開いたのはシルビアだった。
「はい。セフィリア、とても綺麗でした。」
メィリィも続けて言う。
するとフィアは頰を若干赤くして
「ありがとうございます。...けどすっごく恥ずかしかったです。」
実はフィアはギリギリその時顔には出さなかったが、私は何をしてしまったんだと、ほんの少しだけ後悔していた。あとは幸福感が大きかった。内緒。しっ。
「やっぱり、すいません。貴方達を差し置いて...」
「え?」
フィアの言葉にメィリィは困る。
貴方達を差し置いて?どういう事?と、
シルビアは
「いいえ、王女様はいつも公の場で苦労しています。別に盗られたなんて思ってませんよ。そして分かってない人が約一名いるようですが。」
そうしてメィリィに視線が移る。
え!?私!?とメィリィは焦る。
するとシルビアがいつも家にいるときみたいに優しく声をかける。
シルビアは非常事態に弱いが、こういう所はメィリィを支える従者として十分な役割を見せる。
「メィリィ様、前でアレン様が王女様をエスコートして歩いている時、少しモヤッとしませんでしたか?」
「...え?」
メィリィは思い出してみる。そう、確かにセフィリアがアレン君に抱きついた時も、アレン君がセフィリアをエスコートした時も、心がモヤッとした。壊れそうになった。
何故だかはわからないけど。
「...あるみたいですね。メィリィ様。」
表情で悟られたのか、パッと顔を手で隠すと、控えめにコクッと頷いて返事をした。
「いいですか、メィリィ様、それは《恋》ですよ。おめでとうございます。初恋ですね。」
「え、メィリィって初恋なんですか?」
フィアがシルビアに尋ねる。
「はい。まぁなんと言っても箱入りですから〜。仕方ないと言えば仕方ないですね。」
そう言ってフゥ...と軽くため息をつく。
「私は...まだわかりません...これが初恋...人を、異性を好きになる事なのか...わかりません。」
メィリィは依然戸惑っている。
「メィリィ、もしもね?私とシルビアが...アレン様と恋人になって...結婚して...貴方は政略結婚で他の人と結婚して...それで貴方はどう思いますか?なんとも思わないのですか?それとも...」
メィリィは考えた。アレン君が二人と楽しそうにしながら、私の元からどんどん遠ざかっていくのを。
そんなのは...
......嫌、絶対嫌。
私はずっとアレン君の側にいたい。
あの自分の強さをひけらかしたり、自得したりしない、謙虚で暖かい性格。
その性格をより良く際立たせる。整った顔立ちと白い綺麗な髪。
何より身分差すら気にしないその広くて柔らかで、暖かい心。
そんなアレン君と一緒に...ずっと一緒にいたい!!
「嫌です!!!」
そして声に出た否定の言葉。
それに二人は少し驚いた表情をした。
あぁそっか私は認めたんだ。アレン君が好きなんだって。これが初恋だって。
「メィリィ様...涙が...」
そうシルビアがメィリィの涙をハンカチで拭う。
「あ...私...」
「ようこそメィリィ、私達の世界に。これが人を好きになるって事です。」
フィアは両手を自身の胸に当て、そしてメィリィの胸に手を添える。そして...
「とても、暖かい気持ちになりませんか?」
そう...言うのだった。
シルビアは隣で、その2人を見ていた。
心の中では(アレン様、私だけならともかく、二人を娶れる身分なんでしょうか...?一夫多妻は認められていますが、ちょっと一騒動ありそうな気がします...)
そう考えていた。
だが安心なさい。
フィアは知っている。
そしてフィア以外は知らない。
アレンは今まで隠していたのだ。エルセイン王の我儘で。
自らが帝国の皇子であることを。
次、来週あたり投稿できたらなって思ってます。
思ったより入学式編長引きそうです、あと三、四くらいありそうな感じします。