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006 「明けの明星、ギルドへと赴く」

この回のために一応、レイティングとしてR15指定をさせて頂いてます。

苦手な方は、飛ばして読むかブラウザバックを推奨します。

ガイラック視点






「さぁて、今日からはあいつがいないから、安心して依頼を受けられるな」


 まったく、余計な奴が一人いただけで、金はかさむわ余計な仕事は増えるわストレスは増えるわで最悪だったわ。

 おまけに、あいつは馬鹿みてぇになんに関してもうるさく言ってくるし、何様だよ。

 所詮雑用、その分際で――――


「ええ、私も常々思ってました。アルクがいたから、私たちは弱いまんまなんじゃないかって」


 やっぱりそうだよな?

 きっとそう、というよりそれしかないじゃんか。

 俺らがこのランクでくすぶることになってんのは、あいつがいたせいだ。

 絶対の絶対に、俺らに比があるわけがない。


「ああ、そう言えばノルンには言ってなかったな。後で言っとくか」


 ノルンも一応、俺らのパーティーの一員だ。

 特に、治療術師なんて滅多にいるもんじゃないし、アルクと違っていて困ることはない。

 だから、なんか気を使う。

 なんかむず痒い優しさみたいなのを感じるが、それがまた気に食わねえ。

 少し怪我をする度に止まれって言うもんだから、まあダンジョン攻略の進まないこと。

 そんな感じで、苛立ちもあるが追い出すのも勿体ないような気がするから、互いの気を立たせないようになるべく交流していない。


「そのくらい、いくらあの娘でも気がつくでしょう。それに、わざわざガイラックが手間をとる必要はないんじゃない?」


「まあ……それもそうだな。邪魔な奴がいなくなっただけだ、ノルンもその程度じゃ騒がないだろう」


 というか、これくらいで騒いでくれちゃ困るんだが。

 これからもメンバーがどんどん変わっていく予定なのに、毎回そんな調子じゃ気が狂っちまう。

 勘弁してほしいな、ホント。


「それより、追放したアルクの代わりに次に入ってくるのは、使える魔法使いだといいね。またハズレ魔法使いだったら、いい加減我慢できないのだけど」


「まてまて、そこは安心しろ。俺がギルドの女職員に、とびっきりの腕利きを頼んどいたからよ」


「それは嬉しいけど、私以外の女と関係は持たないんじゃないの? こーんなに、時間かけて愛し合っているのに……」


 エレンは、俺の脇腹から胸元を這うように舌を滑らせ、身を包んだ一枚の布をひらひらとさせて誘ってきた。

 布って言っても、薄い毛布みたいなもんだ。

 だから、透けて胸元なんてもろに見えるし、余計に狙ってきているとしか思えない。


「もう今日はいい。寝ないでやッてたんだし、充分だろ? それに、早くギルドに行って確認もしたい」


「それなら仕方がないね。じゃあ、先に水浴びてていい?」


「早く浴びてくれよ。もし時間がなくて入れなかったら、この火照った体が乾いたときに変に光るから」


「ガイラックのそういうところもまた、かっこいいよ?」


 言って、エレンは玄関側の個室に入る。

 その中には大きな水桶があって、そこから水を汲んで体を流す仕組みになってる。

 当然冷たい水しかねぇけど、ないよりはマシだ。

 時々エレンの「ひゃあん!?」って声が聞こえるが、今さらなんとも思わない。


「……伝説の剣だか知らねえけど、楽しみだな。俺の手に馴染む奴だといいんだけどな」


 今の俺にとっちゃあ、こっちの方が大事なことだ。

 別に肉体関係なんて持とうと思えば持てる顔だ。

 相手にそんな困ることはないし。


 だけど、ダンジョン攻略は違う。

 今やっておかないと、機会を逃しちまうかもしれない。

 アルクがいて中層まで潜れたんだ。

 優秀な奴がいれば、もっと下まで――――下手すりゃあ、最下層だって行ける。


「待ってろ、俺だけの……俺のための剣!」


 俺は、拳を強く握って剣を手に入れることをこの身に誓った。



 

―◇―◇―◇―◇

ノルン視点






「んーーーーっ! ふぁーあ、よく寝ましたぁ……」


 まだ眠いけど、起きなきゃなぁ。

 だるい体を伸ばして、布団を掻き分け勢いよくベットから脱出!

 ふうーっ、意識が一気に覚醒していきます……。

 え、なんでそんなことをするのって?

 この宿のベット、すごーくよく眠れるんだぁ。

 だから、中々起き上がれないの。

 なら、もう一度寝ちゃう前に起きた方がいいと思ってね。


 よっと、まだまだやることがあるんだった。


「まず先に、顔を洗いますかぁ」


 玄関の側にある個室の扉を開けて、中の水桶を鏡のようにして髪の様子と顔の様子を見る。

 すると、髪がぴょんぴょんと跳ねているのを見て、私はめんどくさいと思ってしまった。

 私の髪は中々形を覚えないから、ずっと押さえていなきゃいけないから。


「でも、昨日よりは全然酷くないですね。これなら数分で……」


「んんッ、ガイラックったら――んあっ!」


「はぁーあ、またしてるじゃないですか……」


 まだ朝早いから寝てるのかなと思いきや、二人揃ってお熱いことをしていらっしゃる。

 別に私はいいけど、他のお客さんの迷惑になっていないかな?

 それにあの二人、外に音が漏れてるってわかっていないのかもしれないね。

 後で言ってあげるべき――なのか、二人のそういうことには干渉しないべきなのか。


「でも、私だったらそんなこと言われたら恥ずかしいですっ」


 誰もいないのに、想像したら自然に顔が赤くなっていくのが分かります。

 なんででしょう、やはり恥ずかしいのでしょうか。

 であれば、やはり無干渉でいるべきなのですね。


「きっと……そうです!」


 そんなときくらい、騒げてもいい場所がある方がいいに決まってますからね。

 よし、私にはなにも聞こえてない、私にはなにも聞こえてない……


「それより、追放したアルクの次に……」


「そうです、私にはなにも――――ってええ!?」


 ちょっと待って、アルクさんが追放されたってどういうことですか?

 別に問題行動を起こすことはありませんでしたし、彼のおかげで助かったこともかなりあるはずなんですが、一体どういう?


「伝説の剣……」


 伝説の剣、最近噂になっているあれのことですね。

 なんか、ダンジョンの最下層に行けばあるとかないとかっていう。

 だけど、最下層なんて行けるわけがないじゃないですか。

 なにせ――――


「アルクさんを追放した明けの明星だなんて、もう強くはないんですから」

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