僕の朝
僕は将太。獣人のお父さんと虫人のお母さんを持った、ごく普通の小学5年生だ!
今日から新年度、高学年になった僕は新1年生の面倒も見ないといけない。まぁ面倒を見るのは・・・
「お兄ちゃん!早く学校に行こ!早く!」
妹の美咲だったりする。
「朝ごはん食べてからだよ美咲。食べないとお腹が空いて倒れちゃうよ?」
「倒れる?それはダメ!食べる!早く食べよお兄ちゃん!」
「はいはい」
食卓に行くとお母さんがお父さんのお弁当を作っていた。お父さんは食べ終わったのか、新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる。苦いのになんで飲むんだろ?大人になると美味しくなるのかな?
「おはよう将太、美咲。お母さんが作ってくれたんだ。ちゃんと食べなさい」
そういうとお父さんは美咲をイスに座らせた。ゴワゴワした毛がかっこいい!
お父さんは狼の獣人だ。僕はお父さんの血が濃いので、どちらかというと狼っぽい体だ。お父さんはとてもかっこいいので、大きくなったらお父さんみたいに強くてかっこいい人になりたいな!
妹はお父さんに構ってもらえて嬉しそうだ。4本の手でお父さんの手に抱き着いている。
「2人とも遅いわよ?さっさとご飯食べなさい。」
お母さんは4本の手でご飯とみそ汁をよそって渡してきた。
お母さんは蜘蛛の虫人だ。4本の足で立ち、4本の手で家事をする。妹はお母さんの血が濃いので、将来は美人になれるといいなぁ・・・でも今の美咲を見てると美人にはなれそうもない。あぁ!お箸は1本の手で使うんだよ!
「美咲、忘れ物ない?ハンカチ、ティッシュは持った?」
「持ったよお兄ちゃん!」
「お父さんも一緒に出るよ。途中まで一緒に行こう」
「「お父さんも忘れ物ない?」」
「お父さんは大丈夫。あ、母さん。今日は新人歓迎会があるから遅くなる。夕飯はいらないからな」
「飲みすぎないでね?さ、3人ともいってらっしゃい♪」
「「「いってきます!」」」
家族3人で歩く。僕たちの学校は駅の近くだから、たまにお父さんと一緒に行けるのがとても嬉しい!美咲も嬉しいみたいで、お父さんと繋いでない手をブンブン回してる。その度にお父さんの体にぶつかってるけどお父さんは気にしてないみたいだ。
「お父さん、新人歓迎会ってお酒飲むの?」
「あぁ、居酒屋でやるからな。昔は会議室でやっていたんだが、次の日に会議で使うのに手間がかかってな。普通に店でやるようになったんだ。まぁ母さんにも言われたし飲むのは程々にしとくさ・・・ん?あれは将太の友達じゃないのか?手を振ってるぞ。」
お父さんに言われて前を見ると3人の友達が1人の男の子を連れて手を振っていた。
「あ、みんなだ。お父さん、ここからはみんなと行くよ!行ってきます!」
「気を付けてな。いってらっしゃい」
お父さんと別れて友達のところに美咲の手を引っ張って行く。美咲はお父さんと別れるのを少し嫌がったが、俺の後を素直についてきた。
「おはようございます将太君。隣にいるのは妹だっけ?僕は貴志。よろしくね」
1人目は貴志。眼鏡をかけてる普通の男の子だ。見た目は昔の旧人類と変わらない。でも常に健康で寿命が200年もあると言われている超人だ。まぁ最初の超人がまだ生きてるから平均寿命が何歳なのかまだ分かってないみたいだけど。貴志は僕みたいに足の速い種族になりたかったらしい。でも寿命が長ければ楽しいことも多いし、そっちはそっちで羨ましいのにね。
「おは将太!妹ちゃんもおは!俺は瞬だ!よろ!」
2人目は瞬。インコみたいな緑の羽毛をしている男の子だ。最近は自分で飛ぶのをめんどくさがって他の人(特に獣人)に投げてもらい、滑空するのが趣味だ。俺も何回か投げたが今は投げてない。マイブームは話し方を短縮することらしい。でもたまに分からないことがあるから普通に話してほしいな。
「おはよう将太?ついでに妹ちゃんもおはよう」
3人目は桜。ここ日本では少しだけ特別扱いされる竜人の女の子だ。なぜか知らんがこいつは俺のことが好きみたいなんだ。4年前、付き合うってのがよく分からない俺は告白されたけど「まだ友達で」という最低な返事をした。なのに未だに好きでいてくれる。ぶっちゃけ可愛いので他の男子にも告白されてるんだけど、俺以外の男子には興味ないらしい。そして俺を好きなのを隠してないから、今では俺らは婚約者と呼ばれてる。まぁ別に好きな女子は桜が一番だからいいんだけど。
「みんなおはよう。こっちは妹の美咲。みんなに挨拶して」
「おはようございます!美咲です!1年生です!」
よかった。ちゃんと挨拶できた。褒めようとしたら桜が凄い速さで美咲に頬擦りしてる!?
「可愛いよー・・・私のことはお姉ちゃんと呼んでね!大人になったら本当に義姉になるし!」
なんなんだ?なんで大人になると姉になるんだ?今でもお姉さんだろ?よく分からん!
「将太君はなんで分からないんでしょうね?」「バカだからね」「私の夫をバカにしていいのは私だけよ!」
みんなうるせえ!俺はバカじゃないぞ!学校の成績もトップクラスなのに!
「お兄ちゃん・・・こっちの男の子は?」
忘れてた。見た目は美咲と同じ虫人だ。違うのは蜘蛛じゃなくてカブトムシみたいだ。まだ小さいが角がある。でもオドオドしてるから背丈より小さく見える。
「君の名前を教えてくれるかな?」
聞いても返事はない。どうしようか・・・3人を見ると困った顔をしている。すると美咲が1歩前に出てきた。
「私は美咲!君の名前は?」
「僕の名前はレオナルド。カブトムシの虫人だ。虫人だけど力は獣人以上にあるのさ!僕も1年生だから、まずは友達から始めよう。さ、レディ?僕が学校までエスコートしよう。」
「えーっと、よろしくね?」
「こんなに喋ったレオは初めて見たわ。いつも瞬たちが話してもダメで、私くらいしか話せないような内気だったのに・・・」
男が話しかけてもダメで、年上の女子とは少しだけ話せて、同年代の女子(美咲)には軽い口調で話す。こいつダメだわ。
「「「「・・・そろそろ学校に行くか」」」」
僕たちは学校に向かった。朝から疲れた。レオ(すでに呼び捨て)のせいで。出来れば美咲の周りには普通の友達できて欲しいと考えるのは欲張りなのかな?