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プロローグ

 20XX年、日本にある少女がいた。

 少女は少し変わっていた。他の少女は犬や猫が好きな子が多かったが、少女は蜥蜴を可愛がっていた。

 少女が5歳のとき、家の軒下にいた蜥蜴を見つけた。その愛くるしい小ささとシュッとしたフォルムに一目惚れし、家の中に持ち帰った。

 少女の母は少しだけ難色を示したが、娘のおねだりで諦めて飼うことを許した。

 蜥蜴は利口だった。いつも少女の肩に乗り、逃げたり暴れたりしなかった。少女が10歳のとき、蜥蜴は子猫くらいの大きさに育ったが、誰も指摘はしなかった。どう見てもただの蜥蜴じゃないのに・・・



 夏休みのある日、少女は小学校に向った。今日は学校でプールの開放があり、泳ぐのもそうだが、なかなか会えない同級生や少しだけ意識し始めた好きな男子にも会えるということでウキウキしていた。

「今日はプールだって!楽しみだね、リュウ君!」

 リュウとは蜥蜴の名前だ。大きく強くなってほしいと願って名付けたのだった。そのおかげで大きくなり、たまに火を吹けるようにもなった。もちろん少女はそれがおかしいとは気づいてない。大物だ。

 リュウをいつも通り肩に乗せて登校する。途中で友達と合流し、他愛もない話をしながら学校へ向かう。あと少しで学校だ。少女は走った。校門に好きな男子がいたからだ。

 少女は気づかなかった。飲酒運転のトラックが信号無視で迫ってきたことに。

 少女は気づかなかった。リュウが翼を生やしてトラックから身を挺して少女を守ったことに。



 そして・・・


 少女は泣いた。トラックに気付いていれば、男子に目を奪わられなければ、リュウ君を連れてこなければ・・・リュウ君を死なせないで済んだのに。

 リュウは泣いた。もっと強ければ、言葉が話せれば、知恵があれば・・・少女を泣かせることはなかったのに。


 少女はもっとリュウ君と一緒にいたかった。だが泣くことしかできない。自分には何もできないから。

 リュウはもっと少女と一緒にいたかった。だがこの体はもう動かす気力もない。話したかった。だがこの口は火を吐くことしかできない。


 そして・・・

 

 奇跡は起きた。


 リュウの体が光り輝き、少女の体に入ったのだ。

 少女とリュウは理解した。強くなったのだと。話ができるようになったのだと。これでずっと一緒だと。


 それが世界で初めての竜人の誕生。新人類の幕開けだった。



 ・・・そして21XX年。

 アジアでは竜人が、

 ヨーロッパでは人魚が、

 アフリカでは獣人が、

 北アメリカでは鳥人が、

 南アメリカでは虫人が、

 オセアニアでは超人が、


 そしてさまざまな混血が生まれて生活していた。


 これはそんな新人類が生活するだけの、なんでもない平和な毎日の話。

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