表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/157

夜道のルーヴ

「ウォーンッ! オレのウルフが雄叫び上げりゃあ、ドイツもコイツも震え上がるぜえっ! おおっと、ここで言うドイツはよお、国の名前じゃないぜ? んでもってコイツもよお、国の名前じゃあないんだぜ?」

 満月の照らす夜道をオオカミ耳の少女、ルーヴが走る。


 革ジャンにジーンズ姿のまま、四つん這いになり猛スピードで住宅街を駆け抜けるルーヴのその姿は、あまりの速さに、おそらく通常の人間の目には捉えることが出来ないだろう。


 四つん這いで走るルーヴは、その鼻先を擦りつけるようにして、

「クンクン、クンクン」

とアスファルトの匂いを嗅ぎながら清陀の匂いを探していたのだった。


「ルーヴさぁん! 待つですよー! シエンヌはせっかくメイドさん姿になったし、お外で四つん這いは恥ずかしすぎるのですうううーっ!」

 茶色いドレスに白いエプロンを付け、頭のホワイトブリムの隙間からはみ出した犬耳をピクピクと動かしながら、メイド姿のシエンヌが二本の脚でルーヴの後を追いかける。


「あははは! あは! あは!」

 シエンヌの真横を、月ちゃんが妙なハイテンションで颯爽と通り抜ける。


 黄金の光を発しながら空中を移動する三日月型の乗り物、『ヴェロモトゥール・リュネール』に跨った月ちゃんは、シエンヌを追い抜くと、遥か前方を疾走するルーヴに追いついていく。


「んもうー! そんな乗り物を独り占めして、月ちゃんずるいです! シエンヌも乗せてくださいですうううーっ!」

 シエンヌは、ルーヴと月ちゃんにだいぶ引き離されてしまっていた。


「待ってえええーっ! 月ちゃん、ルーヴちゃん、シエンヌちゃん! ねえ、待ってえええーっ!」

 その時、シエンヌの背後から、女の子の喚き散らすような声が聞こえてきた。


「あうあーっ? アルカナちゃんが来たです?」

 シエンヌが後ろを振り向くと、遥か後方から自転車に乗った少女がこちらへと向かって来るのが見えた。


 それは自転車を漕ぐ愛流華奈であった。愛流華奈はフードの付いた真っ赤なローブを身に纏い、胸には六芒星のペンダントを下げているという、まるで魔法使いのような格好をして、前にカゴの付いた赤いママチャリに乗り、そのペダルを必死に漕いでいた。


「はぁーっ、はぁーっ……シエンヌちゃん、ごめんね。私、着替えていたから皆から遅れちゃったの……はぁーっ、はぁーっ……」

 愛流華奈は、ようやくシエンヌに追いつき、そのままシエンヌと横並びに自転車を走らせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ