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私、もうダメですわ……

「ちょ、ちょっと海野君! だ、大丈夫ですこと? なんだか具合が悪そうですわよ?」

 貴梨花はその切れ長の瞳を潤わせて心配そうに清陀の顔を覗き込んだ。


「い、いや……大丈夫だよ」

 清陀は心配させまい、と貴梨花にそう言ったものの、不安げに清陀の顔を覗き込む貴梨花の潤んだ瞳に、その心臓の高鳴りはまずます速さを増していくのだった。


「あらっ……わた、わた、私としたことが……」

 貴梨花が急に何かに気が付いたかのような素振りを見せると、突然、慌て始めた。


「あこ、あこ、憧れの……との、との、殿方と……ふた、ふた、二人きり……」

 貴梨花はその頬を真っ赤に染めて、その表情を火照らせたまま、うわずった声で呟き始めた。


「うわああっ? 青峰さん、大丈夫? すごい具合悪そうだよおおおっ?」

 清陀は、顔を上気させ突然にしどろもどろに喋り始めた貴梨花を心配そうに見つめた。


「ああん……わた、わた、私……もうダメですわ……」

 貴梨花はフラッ、と身体をよろけさせ、その場で気を失ってしまうのだった。


「うわあっ! 青峰さん、しっかり! しっかりしてくれよおおおっ!」

 清陀は倒れようとする貴梨花に抱きつき、必死に貴梨花の身体を支えた。


 その時、物置部屋の奥の方から、ガタッ、と大きな物音がした。


「うわっ? な、何かいるうううっ?」

 清陀は貴梨花の身体を胸に抱えたまま、ソッと後ろを振り向いた。


 清陀が物置部屋の奥を目を凝らして見てみると、所狭しと並べられている木材のうちの一本がガタガタッと揺れ始めた。


「うわああっ! 木が! 木が動いているよおっ!」

 清陀が突然動き始めた一本の木材に悲鳴をあげると、清陀目がけてその一本の木材が倒れ込んできた。


「ぎゃあああ!」

 清陀が貴梨花を抱きかかえたまま咄嗟に頭を低く屈み込む。


 清陀の頭上をかすめた木材が、ゴンッと、音をたて、部屋の扉に引っ掛かった。


「まったく! 見せつけてくれるよなあ! 我はその人間のメスにジェラシーを感じるぞ! いっそのこと斬り殺してしまおうか?」

 木材の隙間から、赤髪紫眼せきはつしがんのゴシックロリータのドレスを身に纏った少女が剣を片手に現われた。


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