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熱く火照ってしまいましたの

「そう言えば……そんなような気もするなあ……」

 清陀の脳裏にフッ、と記憶が甦る。


 そう言えば、魔人ラヴァーズちゃんと路地で抱き合ったまま、突然現れた大きなカードの中に吸い込まれていったような記憶が……


 なんだか現実離れした出来事ばかり起きるから、どこまでが現実でどこからが夢なのか、なにがなんだかもう分からなくなっちゃったよ……


 清陀は、そう考えながら、魔人ラヴァーズに今さっき言われたばかりの言葉を思い出した。その言葉を思い出した途端、その身にゾクゾクッとした寒気が走るのを感じた。


「……っていうか、もう元の世界には戻れないって言った? ね、ねえ、魔人ラヴァーズちゃん……君、たしかさっき、そう言ったよね……?」

 清陀がおそおそる魔人ラヴァーズに訊ねる。


「ウフフ。ご心配には及びませんよ、ご主人様。元の世界には戻れなくとも、一生をこの『恋人』のカードの中の世界で過ごせばよろしいだけですもの……ねえ、一生をこの私と裸のまま抱き合って過ごせたら、これほどまでの幸せなど、他には無いと思いませんか……」

 魔人ラヴァーズはそう言って清陀に微笑みながら、一歩ずつ清陀に擦り寄って来るのだった。


「ああん。一生裸で抱き合うなんて言ったら、急に私の身体が熱く火照ほてってしまいましたの……ねえ、ご主人様。結婚式前夜ではありますが、私、我慢できなくなってしまいましたの……熱く……熱く抱きしめ合いながら、お互い裸で一晩中愛し合いませんか……」  

 魔人ラヴァーズは清陀の耳元で「ハァ~」と熱く吐息を吹きかけながら、その手で清陀のナイトガウンの帯に触れた。


「うわあああっ! やめて! やめてくれよおおおっ!」

 清陀は慌てて、バシッ、と魔人ラヴァーズの手を叩いて払いのけ、ドンッ、と魔人ラヴァーズの身体を突き飛ばすと、

「いやだ、いやだよ! 僕はこんなお屋敷になんて住みたくないよおおおっ! うわあああああっ!」と、叫びながら部屋のドアに向かって走り出した。


「カイン! アベル! そいつを逃がすなっ!」

 魔人ラヴァーズは突き飛ばされた身体をよろけさせながら、カインとアベルに命じた。


「待て! 逃げるとお前の命は無いよ! ね? アベル?」

 カインがその手にトールのつちを握りしめ、清陀を追いかける。


「そうだ! カインの手によって殺されるのはお前だ! ね? カイン?」

 アベルはその手には何の武器も持たず、カインと共に清陀を追いかけた。


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