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あなたの家はここだよ

「うわああ? な、なんで君たちは裸なのさ?」

 清陀が二人の姿を見るなり、慌ててその目を覆うも、


「裸でいるほうが自然だよ。ここは楽園なんだから。ね? アベル?」


「そうそう。楽園では裸が基本だよ。服を着ているほうが不自然さ。ね? カイン?」


 と二人の少女たちはお互いに顔を見合わせて、そう答えるのだった。


「ら、楽園って……? なんのことだい? ……っていうか、なんで僕は白いナイトガウンなんて着せられているのさ?」

 清陀が自分の格好に目を向けながら、少女たちに訊ねる。


「あなたはお客さんだから裸じゃないんだよ。ね? アベル?」


「そうそう。お客さんだから裸じゃないんだ。ね? カイン?」


 カインとアベルがそれぞれ目を見合わせながら清陀に答える。


「いや、そうじゃなくてさ……僕は高校の制服を着ていたはずなんだけど? 僕の制服は一体どこへいったのさ? 制服が無いと学校に行かれないじゃないかあっ! ねえ、僕の制服を返してよおおおっ!」

 清陀が、カインとアベルに喚きたてる。


「コウコウ? セイフク? それなあに? なんのことだか分からないよ?」

 カインが清陀の言葉に首をかしげながら訊き返す。


「航行? 征服? 船で町を襲う海賊のことかなあ……?」

 アベルも首を傾げながら清陀に訊き返した。


「うわあ……なんだかこの子たちは話が通じないよ……」

 清陀は困惑気味にそう言うと、

「……ねえ、とにかく、僕は家に帰らないとならないんだ。制服も返してほしいけど、このお屋敷から僕の家に帰るにはどうしたらいいのか、道を教えてくれないかい……?」

と、カインとアベルに詰め寄った。


「帰るってどこへ? あなたの家はここだよ。あなたは今夜から、この家で暮らすことになるんだよ。ね? アベル?」


「そうだよ。いまはまだお客さんだけど、明日、結婚式を挙げれば、正式にこの家の家族になるんだよ。ね? カイン?」


 カインとアベルがお互いに顔を見合わせて清陀に言う。


「はああああっ? 結婚式ってなんだよおおおっ? 正式に家族になるってなんだよおおおっ?」

 清陀は半ば興奮気味になってカインとアベルにまくしたてた。


 今にもカインとアベルに掴みかかりそうになるが、相手が裸の女の子二人ということもあって、清陀はよからぬところを触ってしまうことを避けようと、掴みかかりたい衝動を必死にこらえるのだった。


「とにかく! とにかく! 僕は誰とも結婚式なんて挙げないし! この家の家族になんてならないし! 今すぐ! 今すぐ、僕の家に帰してくれよおおおおっ!」

 清陀はほとんど半泣き状態でカインとアベルに喚きたてた。


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