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嗅覚自慢大会?

「シエンヌとルーヴは、あたしと大の仲良しだよ。きっとアルカナちゃんの力になってくれるよ!」

 月ちゃんは愛流華奈に二人を紹介すると、

「シエンヌ! ルーヴ! アルカナちゃんの大事な男友達が危ないんだ! 今から助けに行こう!」

と、犬耳とオオカミの耳の少女に言うのだった。


「クウウーン! シエンヌの嗅覚は人間の一億倍です! 探し人ならすぐ見つけちゃいますよー!」

 犬耳の少女、シエンヌが嬉しそうにキャンキャンと跳びはねながら言う。


「んだとおーっ! オレらオオカミは犬の祖先だぜ? シエンヌが一億倍なら、このオレの嗅覚は一兆倍だぜ? い、いや、たぶんだけどな……」

 オオカミの耳をした少女、ルーヴが自慢げに切り返すも、後半からは、なんとなく自信なさげなトーンになっていた。


「……っていうわけだよ、アルカナちゃん。シエンヌとルーヴの嗅覚なら、きっとその男の子を探し出せるかもだよ!」

 月ちゃんが愛流華奈に向かってそう言うも、

「……でも、アテュの匂いがする物も、清陀さんの匂いがする物も、どちらも手元に無いのよ……」

と、愛流華奈は困った表情で言うのだった。


「んだとおーっ! 探している奴の匂いがするものがねえと、いくらこのオレだって、ソイツを見つけることはできねえよ!」

 ルーヴが、なかばキレ気味にそう言うと、

「クウウーン……シエンヌの……シエンヌの活躍する出番が無くなったということですか? 残念です……シクシク……」

 シエンヌは両手で目を押さえて泣き出した。


「ふええっ……それは、あたしも困ったなあ……せっかく、あたしの霊感がアルカナちゃんのお友達の危険を察知したのに、打つ手がないなんて……」

 月ちゃんは急に不安げな表情になり、額の三日月のマークを意味もなく撫でまわし始めた。


 その時、月ちゃんの額の三日月マークがキラリと輝き、その輝きに反応するかのように、部屋の隅に置かれていた愛流華奈の鞄が輝き出した。


 すると突然、カチャッと、ひとりでに鞄の留め具が外れ、ドサッ、と鞄の中身がひとりでに外へと飛び出した。


「あら……これって……」

 愛流華奈が鞄の周囲にぶちまけられたノートや参考書などを見ると、そのなかに『高校 倫理』と書かれた一冊の教科書が紛れ込んでいるのを見つけた。


「杏奈先生の倫理の授業の時、隣の席の清陀さんに見せてもらった倫理の教科書だわ……私、間違えて自分の鞄の中にしまっちゃったんだわ……」



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