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17番 THE STAR 「星」

「星ちゃん、出てきて!」

 愛流華奈がカードを片手にそう叫ぶと、カードから黄色い煙がたちこめ始めた。黄色い煙が、道路に横たわる愚者ちゃんのすぐ傍に集まっていき、しだいに人の形を作っていく。


「いやン。あたし、素っ裸ン!」

 黄色い煙が一人の少女に姿を変えた。


 しかし、少女は何ひとつ衣服を身に纏っていない、全裸姿だった。少女は金髪碧眼で、見た目に十二、三歳くらいだろうか。見た目の年齢のわりには、豊満な乳房を持ち、そのふくよかな丸みを帯びた肉体が、まるで夜空に輝く星のような煌めきを放っているように感じられた。少女は、その両手に赤い水差しを持っている。


「うわあ! すっぽんぽんの女の子がカードから現れたあああっ?」

 清陀は突然の全裸の少女の出現に目を丸くして驚いた。

「あ、愛流華奈ちゃん、まずいよ……ここは道の真ん中だよ? 裸の女の子がこんなところにいたんじゃ、またお巡りさんに怒られちゃうよ!」


「17番、THE(ザ) STAR(スター).『星』のカードから出てきた、星ちゃんです。病気や怪我を回復させる能力のある子なんです。星ちゃんの力があれば、愚者ちゃんも必ず回復させられますよ……」

 愛流華奈はニコニコしながら、カードから出てきた少女を清陀にそう紹介すると、

「……清陀さん、大丈夫ですよ。ご心配なく。星ちゃんの姿を誰も気にならないように出来ますから。ね、星ちゃん?」

と言って、星ちゃんに目で合図をするのだった。


「そうよン! あたしは、皆に希望を与える存在だからン!」

 星ちゃんは愛流華奈にコクリ、と頷くと、

「夜空に輝けン、キラキラスター!」

と、空を見上げて唱え始めた。


 冬の太陽は早く沈むので、既に空は薄暗くなっていたが、曇り空のせいなのか、星ひとつ出ていなかった。


 しかし、星ちゃんが空に向かって、「夜空に輝けン、キラキラスター!」と唱え始めた途端、夜空にひときわ大きな八芒星が輝き出し、その八芒星を囲むように七つの伴星が現われて、それぞれに輝きを放ち始めた。


「うわあ! 凄いなあ! なんて綺麗な星の輝きなんだ!」

 清陀は思わず驚嘆の声をあげ、夜空の星にウットリと見入ってしまうのだった。


「あら、見て! お空にこんなにも大きな星が出ているわ! とっても綺麗ねえ!」


「おおっ! これは天然のプラネタリウムのようだ。ずっと空を見上げていたくなるほどに美しい!」


 道行く人々の会話が聞こえてくる。人々は皆、一様に夜空に輝く星を見上げたまま、ウットリとして、その視線を元へ戻そうとはしなかった。


「ねン? みーんなずうーっと、お空を見上げたままでしょン?」

 星ちゃんが清陀にそう言って微笑むも、

「うわあー、この星はきっと僕にとっての希望の星だ! なんて綺麗な希望の星なんだ……」

と、清陀は夜空を見上げたままで、微動だにせずに星の輝きに見とれ続けているのだった。


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