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私の幼馴染なんです

「な、なんだい、この子は愛流華奈ちゃんのお友達なのかい……?」

 清陀は、愚者ちゃんを背負ったまま、アテュと呼ばれる少女の姿に見入っていた。


「なんだか刺激的でカワイイお友達だね……」

 清陀は、アテュの赤い髪の毛をジロジロと眺めたり、その黒いゴスロリのドレスを眺めたりしながら、そう呟くのだった。


「アテュちゃんは、私の幼馴染なんです……というか清陀さん、なに見とれているんですか! 鼻の下がびろびろに伸びていますよ……」

 愛流華奈は清陀を見て、ハアッとすこし溜め息を漏らすと、

「アテュ、あなたどうして、どうして今頃になって私の前に姿を現したのよ……?」

と、アテュに向かって険しい表情で言った。


「ハハハハ。アルカナ、お前、『運命の輪』を具現化させ、時間を巻き戻しただろう? 普通の人間ならば気づかぬが、この我はすぐに気づいたぞ! そのおかげでアルカナ、お前の存在も確認できたというものさ。世界の内でこんな芸当が出来るのは、この我以外には、アルカナ、お前だけだからね!」

 アテュはニヤリと口角を上げて冷たく笑った。


「お前が運命の車輪を逆回転させたおかげで、この町だけではなく、世界中の時間軸が乱れ、世界規模での時空の歪みが引き起こされたということを分かっているのか? 歴史が……世界の歴史が書き換えられてしまったんだぞ?」

 アテュが愛流華奈に向かって問いかける。


「はああ? 時間を巻き戻したとか、時間軸が乱れたとか、時空の歪みがどうとか、歴史が書き換えられたとか、この子おかしなこと言っているよ? 一体なんのことだい、愛流華奈ちゃん?」

 清陀にはアテュの言っていることが理解できなかった。


「清陀さん……私の犯した過ちです……たしかにアテュの言っていることは正しいかもしれない……」

 愛流華奈が顔を下に向け、沈んだ口調で言う。

「……たしかに運命の輪の車輪を逆回転させれば、私のいた教室の中の時間の流れだけではなく、日本中、そして、世界中にまでその影響は及び、運命の輪による時間の巻き戻しが全世界規模で行なわれる……その結果、世界の歴史が書き換えられ、歴史の流れが変わってしまう……」


「そうだ! アルカナ、お前、自分でもよく分かっているではないか! 自分の犯した過ちを自覚しているならば、潔くその責任を取ったらどうなんだ? なあ、どうなんだよ?」

 そう言ってアテュはニヤリと笑みを浮かべ、手に持っていた日傘を愛流華奈に向けて突き出した。


 バシッ、と勢いよくアテュが日傘を閉じると、日傘が赤い光を発し、みるみるうちに一本の剣へとその形を変えていった。


「アルカナ! 自分で責任が取れないのなら、我がこの手でお前に責任を取らせてやってもいいんだよ?」

 アテュが剣を振り上げ、愛流華奈に斬りかかっていく。


「アハハハ。幼き時から積りに積もった、お前への恨みもこれで一気に晴らせるというものだよ、アルカナ!」


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