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お前こそが死神なのさ

 『死神』のカードには、前足を上げて歩を進めようとしている一頭の白い馬がその中央に描かれていた。


 馬の背中には黒い旗が掲げられている。その黒い旗には薔薇バラなのか一輪の白い花のような模様が描かれている。馬を見上げるような形で、一人の神父が両手を合わせて祈りを捧げるかのように立っていて、神父の傍らでは、少女と少年が馬に向かってひざまずいている。馬の足元には一人の王様らしき人物が倒れており、その王冠が頭から外れ地面に転がっている。


 一点、異様に感じられるのは、白い馬の背のあたりにちょうど人の形のような白い影がその輪郭を残していることである。あたかも、元々、白い馬の背に乗る人物が描かれていたのに、その上から修正液か何かで白く塗りつぶしでもしたような、そんな具合に馬に乗っていたはずの人物が掻き消されてしまっているように見えた。


「たしかに神父さんは描かれているけど、死神なんてどこにも描かれていないじゃないかあ?」

 清陀がまじまじとカードを見つめながら不思議そうに言う。


「具現化魔術でカードから死神ちゃんが具現化してしまっていますからね……なのでカードからはまるで切り取られたかのように死神の姿は消えてしまっているんです……元々は白馬の上に甲冑を身に纏った死神が乗っていたんですけど、今はあそこにいますから……」

 愛流華奈はそう言いながら、清陀の目の前に立つ死神ちゃんを指し示した。


「そ! そーゆーことさ! ワタシがカードに描かれている死神そのものなのさ! ワタシこそは人間たちに死を宣告し、冥界へと連れていく『デス』そのものなんだよ! キャハハハ!」

 死神ちゃんはそう言って高笑いすると、

「でも、今回の占いでは『死』を宣告するのはお前の役割だよ! 今回はお前こそが『死神』になるんだよお! キャハハハ!」

と、清陀を指さし笑った。


「はあ? 僕が死を宣告する役割だって? 僕が『死神』ってどういうことだよ?」

 清陀が死神ちゃんに訊き返す。


「だからあ、カードの絵の両手を合わせて泣きついている神父はそこの青髪のお姉ちゃん。それでもって、その青髪のお姉ちゃんに『死』を宣告する死神はお前なんだよ! 恋の『死』の宣告というやつをね、お前がするのさ! キャハハハ! もう、てってー的に振ってやんなよ! 青髪のお姉ちゃんが一生立ち直れないくらいの大失恋ってやつをね、お見舞いしてやるんだよ! キャハハハ!」

 死神ちゃんはそう言って、清陀を見ながら意地悪く笑うのだった。


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