ツンデレに芽生える嫉妬心
「だって……塔ちゃんすごいセクシーだったから……」
清陀は恥ずかしそうに下を向いた。
「まあ、あたいのセクシーさに見とれるのは男の性ってもんだからさ、しかたないけどさ! でも、オメエさ、この青髪のお姉ちゃんの気持ちもわかってやれって! オメエに冷たくする態度の奥底にはさ、運命感じて身体中にビビビビッと電流が走っちまうほどのさ、熱い想いがあるんだからさ!」
塔ちゃんがセクシーポーズをとったままで、清陀にウインクをしながら言うのだった。
「はあ? 青髪のお姉ちゃんって……?」
清陀は、貴梨花の青いツインテールの髪に目をやると、塔ちゃんに目を向け直して訊き返した。
「もしかして、青峰さんが運命を感じた相手って、ぼ、僕のことなのおおおっ?」
「……ったく、マジで鈍感な男だよな、オメエはよ……」
塔ちゃんが清陀に笑いかける。
「ええっ! マジかよ! 委員長は海野のこと好きなのかよ!」
「信じらんない! 青峰さんがイケメン御曹司とかじゃなく、あんな冴えない海野君に運命を感じただなんて!」
周りのクラスメイトたちが驚愕の声をあげる。
「わ、私の人生で初めて運命を感じた殿方……」
青峰貴梨花が身を震わせ、大粒の涙を流しながら、清陀を見つめる。
「このクラス委員長、青峰貴梨花は海野君にはじめて会った時から……はじめて会った時から……」
最後まで言い終えぬうちに貴梨花はそのまま床の上に泣き崩れた。
「えええっ! だ、だって委員長は僕のこと退学処分にしようと校長先生に直談判しに行くぐらい僕のことが嫌いだったんじゃないのおおおっ?」
清陀は、床で泣き崩れる貴梨花を見下ろしつつ、驚愕の叫び声をあげた。
「まあ、俗に言うツンデレっていうやつなんでしょうね……好きな相手に好意とは真逆の、冷たい態度を取るという……」
愛流華奈は清陀に向かってそう言うも、自らの心の中に仄かな嫉妬心が芽生えはじめるのを感じた。
「むう……私なんて、隠者ちゃんの力を借りてまでしても、鈍感な清陀さんには、私の気持ちを分かってもらえなかったのに……」
青峰さんは清陀さんに気持ちを伝えることができて、うらやましいな……
愛流華奈は、心の中でそう思うのだった。




