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鈍感にも程があるぞい!

「そっか、やっぱり愛流華奈ちゃんがカードの女の子を校長室に送り込んでくれたんだ……なんだよ愛流華奈ちゃん、『私、誤解だなんて思っていませんから』とか言って知らんぷりしていたくせに、ちゃんと僕と愛流華奈ちゃんとはそんな関係じゃないってことを、皆に分からせてくれたんだね。皆の誤解を解いてくれてありがとう、愛流華奈ちゃん!」

 清陀は愛流華奈に向かって手を差出し、握手を求めた。


「むう……。『そんな関係じゃない』って言うのなら、一体どんな関係なのかしらね……」

 愛流華奈は不機嫌に唇を尖らせ、かすかに囁くような小さい声で続けた。

「……服の上からだけど、おっぱい触らせてあげたし、抱き合ったりもしたのに……まるで恋人同士がするようなこと、させてあげているのに……」


「え? 何て言ったんだい? おっぱいがどうとか聞こえたけど、よく聞こえなかったよ?」

 清陀の耳にはまたしても、「おっぱい」の部分しか聞き取れなかったようである。


「むう……随分と都合のいい耳なんですね。そんなにも、おっぱいが好きなんですか……私の、おっぱいにしか興味がないのかしら……」

 愛流華奈はまたも不機嫌そうに唇をプクウッと尖らせるのだった。


「……隠者ちゃんが解いてくれた皆さんの誤解は、クラス委員長の青峰さんが言う、清陀さんが誰かれ構わず女の子に変態的行為を行なう変態生徒である、ということについてだけです。私を悪魔ちゃんの悪巧みから助けてくれたのに、変態生徒と誤解されて、清陀さんがこの学校を退学処分にでもなったら、私だって困りますからね……」


「ん? 僕が変態生徒だっていう誤解が解けたんなら、それでいいんだよね? 僕と愛流華奈ちゃんがそんな関係じゃないってこと、校長先生もクラスの皆も分かってくれたってことだよね? 皆、隠者ちゃんの目を見て、僕と愛流華奈ちゃんの間には何にもないっていう真実を知ってくれたってことだよね?」

 清陀は真剣な目をして愛流華奈にそう訊ねた。


「わ、私たちの間に、な、何にもないだなんて……そんなあ……」

 愛流華奈は清陀の言葉に涙目になりながら言うのだった。


「これ! 坊主!」

 バシッ、と杖で隠者ちゃんが唐突に清陀の頭を叩いた。


「うわあ、痛いじゃないかあ! 何でいきなり僕の頭を叩くんだよ、隠者ちゃん?」

 清陀が叩かれた頭を押さえて喚く。


「何とも鈍い男じゃのう、おぬしは……鈍感にも程があるぞい!」

 隠者ちゃんはそう言って清陀の目をジッと見つめた。


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