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あなたと巡り合えたのも運命かもしれない

「き、君は占い師なの……?」

 清陀が恐る恐る訊ねる。


「はい、今日はあなたを特別にタダで占って差し上げますよ。せっかくあなたとこうして巡り会えたのだから……これも運命かもしれないですね……」

 そう言って少女は首を横に傾けながらニコッと微笑む。


「う、運命って、それって……」

 清陀はとたんに恥ずかしくなって頬を赤らめた。


 もしかして、これって噂に聞く逆ナンパっていうやつ? ぼ、僕がこんなにも可愛い女の子から声をかけられることじたい奇跡としか言いようがないし、この子の言うとおり運命って言うものが本当にあるのだとしたら、僕の人生もまだまだ捨てたものじゃないかもしれないぞ……


「……ホント、こんなにも運の悪そうな、陽の当たる道をわざわざ避けて歩いているような殿方には私、初めて巡り会いました。ああ、まさに占いの神が、私にこの不幸な殿方を占ってあげろと囁いているかのよう……こんな貧乏神が憑りついているような幸の薄そうな殿方を救うことができたら、占い師としての私も一歩成長できますもの……まさに私を成長させるために占いの神が巡り会わせてくれた運命としか思えません……」

 少女は、クロスさせた両手を胸に当てて、目を閉じながら、恍惚の表情を浮かべて言うのだった。


「と、殿方って……?」

 清陀には少女が男性のことを「殿方」と呼ぶことがなんだか珍しく感じられた。しかし、それ以上に、よく考えると少女に失礼な言葉を連発して浴びせられたことに気がついた。


「ぼ、僕をバカにするなよっ!」

 清陀は顔を真っ赤にして怒鳴るのだった。


「まあ。ごめんなさい。私、あなたのことを傷つけようと思って言ったんじゃないんです。うふふ。大丈夫です、私なら、あなたの人生、変えることができます! あなたの人生を、いつも運命に味方されているような、いつも幸運の女神が微笑んでいるような、いつだって希望が胸から溢れるような、そんなバラ色の人生に変えて差し上げる自信があるんです!」

 少女は椅子から立ち上がり、清陀の両手をギュッと握りしめ、その猫のようにパッチリとした瞳を爛々と輝かせながら言った。


「う、嘘だっ! どうせ宗教か何かだろ! インチキ極まりない言葉を救いの言葉のように適当に並べたてて、お金をむしり取ろうと言うんだろっ!」

 清陀は興奮して怒鳴ると、少女に握られた両手を離そうとグイッと自分の方へと引っ張った。


 しかし、少女は清陀が手を離そうとすればするほど、ギュウウ~と強く手に力を入れて清陀から手を放そうとしなかった。


「は、放せ! 放せよっ!」

 清陀が身体をジタバタさせながら必死に抵抗する。


 それでも少女は握った手を放そうとしない。


「お願い……私に占わせて……あなたのことを……」

 少女は目に涙を浮かべながら、握った清陀の手を自分の方へと手繰り寄せた。


 少女の方へと手繰り寄せられた清陀の手が少女の胸に押し当てられる。


 柔らかく丸みのある少女の乳房の感触が、少女が着ているローブの上からでも清陀の手のひらに伝わってくる。


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