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すこしは反省してよね、私の王子様……

「うわあああっ! 誤解だよおーっ! 僕と愛流華奈ちゃんはそんな関係じゃないんだって! 皆、誤解しないでくれよおーっ!」

 清陀は慌てて愛流華奈から離れ、クラスメイトたちに訴えるのだった。


「むう……私とは、そんな関係じゃないなんて……私の胸を服の上から触ったり、私と抱き合ったりまでしておきながら、誤解で済まそうだなんて……」

 愛流華奈はプクウッと不機嫌に唇を尖らせた。


「ねえ、愛流華奈ちゃん! 僕たちはそんな関係じゃないって、君からも誤解を解いてくれよ。君からもなんとか言ってくれって!」

 清陀は必死に愛流華奈に懇願した。


「知りません……私、誤解だなんて思っていませんから……」

 愛流華奈はそう言ってプイッと横を向いた。


「海野君。さあ、あなたを校長室へ連行します! 校長に海野君の退学を直談判しに行きましょう! ねえ、クラスの皆さん、よろしいですわね?」

 青峰貴梨花はそう言って、清陀の腕をグイッと引っ張った。


「ぼ、ボクも校長先生に会って、裏切り者の海野君の退学を頼んでみるよ!」

 四谷一郎太も青峰貴梨花と一緒になって清陀の腕を引っ張った。


「委員長が行くなら、俺も校長室行くよ!」


「青峰さんが行くなら、私も行くわ!」


 クラス中の生徒が賛同の声を挙げる中、清陀は青峰貴梨花と四谷一郎太にその腕を引かれ、教室を後にした。その後ろからクラス中の男子と女子が清陀の背中をゾロゾロと追いかけるようにして続いていった。


「うわああ、全部誤解なんだよおおおおっ!」

 廊下から聞こえる清陀の喚き声を耳に、

「すこしは反省してよね、私の王子様……」

と、教室に残された愛流華奈は頬を赤らめながら、ブレザーの制服の内ポケットのタロット・カードに手をやり、一人つぶやくのだった。



 昼休み。

 教室で清陀は机の上に弁当箱を広げ、母親の作った海苔のり弁を箸でつついていた。清陀の隣の席では愛流華奈がニコニコ微笑みながら、清陀が箸をつつく様子を見守っている。


「愛流華奈ちゃん、君のおかげで僕は散々な目に遭ったんだぞ!」

 清陀は口の周りにご飯粒をたくさん付けながら、愛流華奈の方を見てまくしたてた。


「……でも、校長室に僕が行った時、途中から変な女の子が入って来たんだ……その子が校長先生の目を見た途端に、『本校では健全な男女の交際は大いに結構。どんどんやりたまえ』とか校長先生が急に言いだしてさ……そうしたら、青峰さんも、クラスの子たちも皆、急に僕のことを温かい目で見るんだ。なんだかおかしいよなあ……これって、もしかして愛流華奈ちゃんが……?」


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