オレ様がまたお出ましだぜ
「三人とも喧嘩はやめなさいっ!」
愛流華奈が、皇帝ちゃんと正義ちゃんと悪魔ちゃんのドタバタ騒ぎを見かねて叫び声をあげた。
「三人ともカードに戻りなさいっ!」
愛流華奈が三枚のカードを右手に広げ、三人に向けて突き出した。
「うわああ、朕は皇帝なるぞ! アルカナぁ、そなたも反逆するのかあ……」
皇帝ちゃんはボムッ、という音とともに、その姿をオレンジ色の煙へとしだいに変えていきながら、スウウ~ッと愛流華奈の右手の『皇帝』のカードへと吸い込まれていくのだった。
同時に、ザッ、ザッ、ザッ、と廊下に鳴り響いていた複数の足音も消えた。
「きゃああ、アルカナさん! この私を消そうというあなたは有罪です……」
正義ちゃんは左手の天秤を大きく傾けさせたまま、ボムッ、という音とともに赤い煙へとしだいに姿を変えていき、スウウ~ッと愛流華奈の右手の『正義』のカードの中へと吸い込まれていった。
「ケケケケッ。このオレ様をそんなカードの中に封印しようと言うのかい……」
悪魔ちゃんがボムッ、と音をたて黒い煙へとその姿を変えていきながら、スウウ~ッと愛流華奈の右手の『悪魔』のカードへと吸い寄せられていく。
しかし、悪魔ちゃんが姿を変えた黒い煙は、愛流華奈の右手の『悪魔』のカードの手前でその進路を変え、隣の席にいる清陀の周りをグルグルと回り始めたのだった。
「うわあああっ、あ、愛流華奈ちゃん! 黒い煙が僕の周りをグルグル回っているんだけど?」
清陀が自分の周囲を取り囲む黒い煙に怯えるように言う。
「あ、悪魔ちゃんっ! カードに戻りなさいっ!」
愛流華奈も慌てた様子で、清陀を取り囲む黒い煙に向かって叫ぶように言う。
しかし、突然、ボムッ! という音がしたかと思うと、黒い煙がふたたび悪魔ちゃんの姿に変わったのだった。
「ケケケケッ。アルカナさあ、お前の具現化魔術もまだまだなんじゃねえの? オレ様がまたお出まししちまったじゃねえか!」
悪魔ちゃんは愛流華奈の方を見てアカンベーをすると、清陀の肩に腕を絡めて纏わりついた。
「よおっ、お前さあ、アルカナのこと好きなのか?」
悪魔ちゃんは清陀にそう言って、清陀の腕を掴みあげると、
「アルカナなんかよりよお、このオレ様のほうを、ゼッテーお前は気にいるはずだぜ?」
と、清陀の腕をそのまま自分の胸に押し当てさせた。
「ケケケケッ。オレ様のチチはどうだい? ホラ、好きなだけ触っていいんだぜ? お前もオトコならよ、チチを思いっきり揉みまくれよ! ホラ、オレ様のチチは柔らかいだろ?」
悪魔ちゃんは元々上半身を露出した格好なので、清陀は無理やりその手で悪魔ちゃんの露出した乳房を揉まされているのだった。




