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僕への誤解を解いてくれよ

 うわあ、どうして僕ばっかり責められるんだよー。

 清陀はすこし動揺した。


「愛流華奈ちゃん、ねえ、君の方から僕への誤解を解いてくれよーっ!」

 そう言いながら、清陀は愛流華奈の傍へ近寄り、その腕を引っ張った。

「まさか転校生が君だなんて僕も思わなかったよ……どうして愚者ちゃんなんかと一緒に窓を割って入って来たんだい? 君が愚者ちゃんを連れてきたおかげで僕が変な誤解をされちゃったじゃないかあ!」


「私も昨日、あなたの着ている制服を見て、もしや同じ学校なのでは、と思いましたが、まさか同じクラスだったとは……私も驚きました……」

 愛流華奈は自らの腕を引っ張る清陀の目を見てそう言うと、

「ごめんなさい……実は私、あなたが出てくる夢を見ていたんです……それで、目が覚めたらもう八時近くて。遅刻すると思って、愚者ちゃんに空を飛んで連れて行ってくれるよう頼んだんです。そうしたら、愚者ちゃんが方向音痴で迷ってしまって……やっと学校を見つけたと思ったら、まさか愚者ちゃんがいきなり窓から教室に飛びこむだなんて私も思わなくて……」

と、申し訳なさそうに下を向いて清陀に謝るのだった。


「ええ? 愛流華奈ちゃんの夢の中に僕が出て来たのかい……?」

 清陀は愛流華奈が見た夢と、自分の見た夢との偶然の一致に驚くのだった。

「ぼ、僕は愛流華奈ちゃんと愚者ちゃんが出てくる夢を見たんだ。その夢のせいで寝坊しちゃったんだ……」


「むう……あなたは自分が寝坊したのを私のせいにするんですね……いいです。それなら、私が遅刻したのはあなたのせいですね、清陀さん……」

 愛流華奈は不機嫌に唇を尖らせながら清陀に言った。


「愛流華奈ちゃんだって、結局、僕のせいにするんじゃないか! それに、僕は君には名前をまだ教えていないぞ? どうして君が僕の名前を知っているんだよー」


「愚者ちゃんから教えてもらいました。それに愚者ちゃんがセイダ、セイダ、と何度もあなたの名前を連呼するじゃないですか。愚者ちゃんは、よっぽどあなたのことが好きなんですね。おめでとうございます、可愛い彼女が出来て良かったですね……」


「可愛い彼女が出来て、とか嫌味かよ。愚者ちゃんが一方的に僕のことダーリンって呼んでだな……」


 清陀と愛流華奈が売り言葉に買い言葉の不毛な口喧嘩をしていると、

「ウソー? 海野君全然ボソボソしてないよ? よく喋るー」

とか、

「喧嘩するほど仲が良いって言うし、海野君と転校生の子って既にデキているんじゃないのー?」

とか、

「う、海野君、リアルの女の子と痴話喧嘩をするなんて、ぼ、ボクは君を見損なったよ……ぼ、ボクたちはあくまでも二次元の女の子と痴話喧嘩をしなくちゃならないんだああっ!」

などと外野からの声が二人に投げつけられるのだった。


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