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森がモリモリっ!

「ええ、大丈夫ですよ!」

 愛流華奈はニッコリと清陀の目を真っ直ぐ見つめ微笑んだ。


「うわあっ、愛流華奈ちゃんの反応が、女教皇ちゃんの雨乞いの時とぜんぜん違うよ?」

 清陀が面食らっていると、

「うっわあーっ! 咲いたーっ! 咲いたよーっ! 綺麗なお花ーっ!」

と愚者ちゃんの驚く声が聞こえてきた。


「ええっ? まさかあ?」

 清陀が愚者ちゃんの声のする方向を振り向くと、そこには赤、紫、黄色、ピンク、オレンジ、白など色とりどりに咲いた一面のチューリップ畑が広がっていた。


「す、凄いや! い、いつの間にこんなに咲いたんだあっ!」

 清陀が驚きのあまり呆気にとられているその側で、

「森よ、モリモリ生い茂ろーっ! エーンヤコーラあーっ!」

と女帝ちゃんが喚きながら黄金のしゃくを今度は別の方向の大地に向けて振り下ろした。


「クウウーンッ! 森が! 森がどんどん生まれていくですワンンンッ!」

 シエンヌが驚きの声をあげる。


「も、森が生まれるってどういうことおっ……?」

 清陀がシエンヌの声のする方向を見ると、女帝ちゃんが黄金の笏を一振りするごとに、ボンッ! と何本もの木が生い茂った森が荒地の上に突然現れていく摩訶不思議な光景が目に入った。


「何だこりゃあああっ? まるで魔法じゃないかあっ!」

 清陀は、またしても呆気にとられるのだった。


「凄い……凄過ぎます……これはまさに奇跡としか言いようがありません……」

 魔人ラヴァーズは、満開のチューリップ畑や次々に出現する森を見て滂沱ぼうだの涙を流した。


「「私たちの大好きな綺麗なお花がまた咲いたんだね……」」

 カインとアベルも色とりどりに咲いたチューリップの花に声を揃えて感激の涙を流した。


「こんなものでどうかしら? だいぶ緑が増えて居心地も良くなったと思うの」

 女帝ちゃんが辺り一面に咲いた花の絨毯じゅうたんや、地平線の奥まで果てしなく続く広葉樹の深い森を眺め、満足げに笑う。


「上出来よ! どうもありがとう、女帝ちゃん! おかげでトートの『恋人』の世界に皆がふたたび暮らせるようになったわ!」

 愛流華奈が女帝ちゃんの手を握りしめ、感謝の言葉を投げかける。


「アルカナ殿。済まぬが、もう一つばかりワシらの願いを聞いてくれぬか……」

 その時、フードを被った大男が突然、愛流華奈に話しかけた。


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