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お外に出ましょう!

「そうですね……もうひと工夫必要ですね……」

 愛流華奈は清陀にそう答えながらも、魔人ラヴァーズやカインとアベルに抱きつかれたまま、身動きが取れずにいた。


「世界ちゃん、お願いね……」

 愛流華奈がその身を悶えさせながら、世界ちゃんに向かってウインクをする。


「ハアーイ! もち了解よ、アルカナさん!」

 世界ちゃんは愛流華奈に、「チュッ」と投げキッスをして応えると、バトンを月桂冠の輪の外に向け、

「エイッ!」

と振り下ろした。


「うっわあーっ! 雨が! 雨が止んだよーっ!」

 愚者ちゃんが輪の外を見て叫ぶ。


「ハアーイ! お天気も良くなったから、皆さんお外に出て遊びましょうーっ!」

 世界ちゃんは続けてそう言いながら、バトンの先端で内側から月桂冠の輪を突っついた。


 すると、月桂冠の輪の全体が波打ちながら、まばゆいエメラルドグリーンの輝きを発し始めた。


「うっわわーい! お外! お外ーっ!」

 愚者ちゃんが両手を広げて、月桂冠の輪の外へと走り出していく。


「クウウーンッ! シエンヌもお外に行くです! 愚者さん待つですワンッ!」

 四つん這いのシエンヌが尻尾を振りながら愚者ちゃんの後を追う。


「どうぞ他の皆さんも輪の外に出てください!」

 愛流華奈が輪の中の残りの一同に声をかける。


「分かりました。私の目で、ホルスの目に焼き尽くされたカードの世界の有様を見てきます……」

 魔人ラヴァーズがコクリと愛流華奈に頷き、輪の外に出て行くと、

「「ラヴァーズちゃん、私たちも行くよ!」」

と、カインとアベルが声を揃えて魔人ラヴァーズの後を追った。


「わらわも行くのじゃ!」


「わたくしも参ります!」


「ワシも散歩がてら、ちと歩くとしよう……」


「グワッ、グワッ」


「ガルルルッ」


 リリスとイヴ、フードを被った大男、白鷲と赤いライオンがその後に続き、月桂冠の輪の外へと出て行く。バサバサッ! と翼を羽ばたかせ、オルフェウスの卵もその後に続いた。


「ようし! 僕たちも輪の外に行こう! 愛流華奈ちゃん!」

 清陀がそう言いながら、輪の外へとその足を踏み出した。


「ええ、行きましょう!」

 愛流華奈は清陀に頷き、輪の外へと足を踏み出しつつ、後ろを振り返り、

「いろいろと本当にありがとう、世界ちゃん……」

と、世界ちゃんに向かって微笑んだ。


「ハアーイ! もち気にしないで大丈夫よ! 私はここで生命のダンスを踊っているから、アルカナさんどうぞ行ってらっしゃいな!」

 世界ちゃんは両手でバトンをクルクルと回しながら、愛流華奈に微笑み返すのだった。


「ううむ! 我輩を忘れては困るのですかな!」

 最後に魔術師ちゃんが愛流華奈の後を追い、輪の外へと足を踏み出す。


 すると、月桂冠の輪の発していたエメラルドグリーンの輝きが消え、波打っていた輪がみるみると収縮していき、世界ちゃん一人をかろうじて囲み込む程の大きさへと縮んだのだった。


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