手詰まりの愛流華奈
「もう方法なんて何もないよ! ね? アベル?」
「そうだよ、方法なんて何もないんだ! ね? カイン?」
二人の少女がその目を涙で潤わせて、清陀に抗議するかのように声を揃えた。
「いいや、カインちゃん、アベルちゃん、諦めたらダメさ! きっと必ずなんとかする方法があるさ……」
清陀は二人の少女を慰めるように優しく微笑みかけると、
「……ね? 愛流華奈ちゃん?」
と愛流華奈に振り返り訊ねた。
「ええっ……?」
愛流華奈はビクッ、とその身を震わせ、
「……そ、そんな急に言われても、この炎を消すには一体どうすればいいのか私にも分からないんです……」
と、困惑気味に清陀を見るのだった。
「だ、だって愛流華奈ちゃん、『私にちょっと考えがあります!』って自信満々に言っていたじゃないかあ! ラヴァーズちゃんたちがもう一度カードの世界で暮らせるようにする方法を何か知っているんじゃなかったのかい?」
清陀も困惑して愛流華奈に訊き返す。
「ええ、たしかに言いましたが、あの方法は炎がすべて消えているのが前提なんです。私もまさか魔人タワーの目による劫火が消えないまま、いまだに燃え続けているなんて思わなくて……」
愛流華奈は表情を曇らせたまま清陀にそう答えると、
「……ねえ、魔術師ちゃん、ホルスの目による炎を消すことは魔術では無理かしら……?」
と、魔術師ちゃんに訊ねた。
「あいや! そればかりは我輩にも手に負える代物では無いのですかな!」
魔術師ちゃんは額に冷や汗を垂らしながら答えた。
「たしかに我輩は火地風水の四大元素を操る魔術師でありまするが、トートの魔人の仕業による炎を操るとなると、さすがに何をどのようにして良いのやら分からぬのでありますかな……」
「魔術師ちゃんにもどうにも出来ないとなると困ったわね……」
愛流華奈が溜め息を吐き、半ば諦めかけていたその時、赤いローブの懐のタロット・ポーチが輝きを発しているのに気付いた。
「誰かしら……?」
愛流華奈が慌ててタロット・ポーチを開け、輝くカードを確認する。




