丸焼きドッグになっちゃいます
「あ、あれ? 僕はいつの間にか寝ちゃっていたのかな……?」
清陀は深い眠りから目を覚ました。
「あれ? み、皆も寝ちゃっているの……?」
清陀が周囲を見まわすと、愛流華奈や愚者ちゃん、シエンヌたちが横になって眠っている姿が目に入った。
「ははは。そりゃ眠くもなるよなあ。外はこんなにも真っ赤だし、そのせいかとても暖かいもの……」
と、途中まで言いかけて清陀は気づいた。
「そ、外が真っ赤……?」
眠っている愛流華奈たちの頭越しに、辺り一面を覆う炎が見えた。気が付けば四方八方、そのすべてが真っ赤に燃え上がる炎の海に包まれていた。
「うわあっ、た、大変だ……」
清陀は慌てて愛流華奈を起こしにかかった。
「ね、ねえっ! 愛流華奈ちゃん、起きて! 起きてくれってば!」
清陀は必死になって、眠る愛流華奈の身体を揺さぶった。
「う、うーん……」
愛流華奈が目を擦りながら、その瞼を開け、清陀の姿を覗き見た。
「あ、清陀さん……おはようございます……」
寝ぼけ眼の愛流華奈が清陀に返事をする。
「大変だよ、外を……外を見てくれってば!」
清陀が月桂冠の輪の外側を指さす。
愛流華奈が清陀の人差し指のその先を目で辿ると、月桂冠の輪の世界の向こう側は勢いよく燃え上がる炎の海だった。
「きゃあ! 大変!」
愛流華奈は慌て、
「愚者ちゃん! シエンヌちゃん! ねえ、皆、起きて!」
と、まだ眠っている愚者ちゃんやシエンヌたちを起こしにかかるのだった。
「ムニャムニャ……アタシ、もう、お腹いっぱいだよお……」
愚者ちゃんが寝ぼけながら、その目を開ける。
「う、うっわあーっ! やっぱり火が消えていなかったんだあーっ!」
愚者ちゃんの驚く声が月桂冠の輪の中に響き渡ると、
「うきゃああああああぁぁぁぁぁッ! し、シエンヌは丸焼きドッグになっちゃいますうううッ!」
と続けて耳を切り裂くようなシエンヌの絶叫がこだまするのだった。




