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またカードの中に行くんですの?

「ま、またカードの中に行くんですの?」

 青峰貴梨花が恐る恐る訊ねる。


「愛流華奈さん、海野君。悪いけれど、私は一度、家に帰りますわ……塾に行ったままで、ぜんぜん帰って来ないと、家の者も心配するので、ごめんなさいね……」

 貴梨花はそう言って頭を下げると、

「海野君、またね……」

と、哀しそうに清陀の顔をしげしげと見つめた。


「青峰さん、いろいろ助けてくれて、ありがとう……」

 清陀が貴梨花に礼を言うも、貴梨花は清陀が礼を言い終えぬうちに、クルッと後ろを向くと、ダダッと走り去ってしまった。


「青峰さん、なんだか哀しそうだったな……」

 清陀は、路地を走り去る貴梨花の背中を見て呟いた。


「私も役目を果たしましたし、そろそろ自分のカードに戻らないとバランスがお悪いです!」

 節制ちゃんも一言そう言うと、ボムッ! という音とともに白い煙へとその姿を変え、愛流華奈が身に纏う赤いローブの懐のタロット・ポーチへと吸い込まれるようにして戻っていった。


「アタシは、アルカナちゃんたちに付き合うよーっ!」

 愚者ちゃんは、はしゃいだ様子で言うのだった。

「こうしてまた無事な姿のセイダとも会えたし、もっとセイダと一緒に居たいんだよーっ!」


「クウウーンッ! 愚者さんも行くのなら、シエンヌも行きますよー! シエンヌの愛しのマイだーりんを愚者さんに独占させてなるものですかー!」

 シエンヌはその犬耳をピクピクと動かしながら、清陀の姿を愛おしそうに見つめた。


「もうーっ! アタシはセイダのこと束縛なんてしないよーっ! シエンヌちゃん嫉妬深すぎだよーっ!」

 愚者ちゃんが笑ってシエンヌに言い返すも、

「愚者さんは恋敵ですワンンン!」

と唸りながらシエンヌが目に見えない火花を散らす。


「あたしとルーヴはここで番をしているよ……」

 月ちゃんはすこし不安げな様子で路地裏の奥の闇を見つめながら言った。

「アルカナちゃんたちがカードの中に入っちゃったら、ここには誰も居なくなっちゃうしね。トートの『恋人』のカードが道路の上に置き去りになったままだと、危ないからさ……」


「ウォーンッ! そうだな、もしあのアテュとかいう奴がアルカナちゃんたちの留守を狙いに来たら、ひとたまりもねえしな! 月ちゃん一人じゃ心細せえし、オレもここに残って見張っていてやんよ!」

 ルーヴはフフンと鼻を鳴らすと、胡坐あぐらをかいて道路の上に座り込んだ。


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