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心の奥までも変えられない

「「ラヴァーズちゃん!」」

 カインとアベルがすかさず魔人ラヴァーズの元へと駆け寄る。


「わあ、ラヴァーズちゃん無事だったんだね!」

 清陀も魔人ラヴァーズの元に駆け寄った。


「まあ、ご主人様……まだその格好をしてくれていたのですね……」

 聖杯カップの水によって身体を包んでいた炎がすっかり消えた魔人ラヴァーズは、清陀の着ている幾つもの蛇の姿が刺繍された黄色のローブを見て嬉しそうに笑った。


 魔人ラヴァーズが礼拝堂での結婚式で着ていた、ミツバチの姿が幾つも刺繍されたオレンジ色のマントは、魔人ラヴァーズの身を包んだ炎によってもはや灰に化してしまっていた。


「ごめんね、結婚式を途中で逃げ出してしまって……」

 清陀が申し訳なさそうに魔人ラヴァーズに謝る。


「いえ、いいのですよ……私の方こそ、恋の矢なんて使って無理やり結婚式を挙げようとしてしまって……やはり恋の矢の力に頼っても、貴方の心の奥までも変えられるものではないのですね。私が間違っておりました……」

 魔人ラヴァーズは桃色の瞳を涙で濡らし、清陀を見つめるのだった。


「清陀さん……魔人ラヴァーズさん……」

 愛流華奈は、清陀と魔人ラヴァーズとのやりとりを遠巻きに見つめていた。


 魔人ラヴァーズの言葉を聞きながら、清陀が恋の矢の力に打ち克ったことを、内心、嬉しく思う愛流華奈であった。


「……でも、どうして炎に包まれる礼拝堂の中に居た魔人ラヴァーズさんたちが、トートの『恋人』の世界から、外の世界へと逃げることができたのかしら……?」

 愛流華奈は不思議そうに首を傾げた。


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