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夜空を飛ぶ火の鳥?

「まあ! アテュ! あなたは自分の使うカードの魔人たちを何だと思っているの! 魔人ラヴァーズだって、魔人タワーだって、カードの魔人たちは皆、あなたの奴隷じゃないのよ! 自分の思いどおりにこき使って、逆らえば燃やし尽くして死なせてしまうだなんて、そんなの間違っている!」

 愛流華奈はアテュを激しく非難し続けた。


 その時、

「うわあーっ! 夜空に炎の鳥がーっ! 燃える鳥が飛んでるよーっ!」

という愚者ちゃんの叫び声が聞こえてきた。


「クウウーンッ! 炎の鳥さんなんてシエンヌは初めて見たです! 燃えながら飛んでいるなんて凄いですワンンン!」

 シエンヌの驚く声も聞こえてくる。


「えっ? 何よ、炎の鳥って……?」

 愛流華奈が思わず夜空を見上げると、そこには炎に包まれながら飛ぶ一人の少女の姿があった。

「きゃあっ! あ、あれは! もしかして?」

 愛流華奈が驚愕の叫び声をあげる。


「愛流華奈ちゃん! 空から火を噴く女の子が落っこちて来るよー!」

 清陀が慌てて愛流華奈の元へ駆け寄って来る。


 炎に包まれながら夜空を飛ぶ少女はしだいにその高度を下げていき、今にも墜落しそうな雰囲気であった。


「アテュ様! 私は貴女を許さないっ!」

 その全身から火を噴きながら、少女は怨めしそうな口調でそう言うと、燃える弓に燃える矢をつがえ、ギリギリとその弓を引き絞った。


「ま、魔人ラヴァーズ! お、お前、生きていたのかっ?」

 アテュは、自らに迫り来る炎の少女に驚愕した。


「な、なぜだ! なぜコイツが生きている? なぜコイツがトートの『恋人』の外の世界に居るのだ? な、なぜだ! なぜなんだあああっ!」

 アテュが咄嗟にその身をひるがえし、その場から逃げようとする。


「逃がすわけにはいかないよ! ね? アベル?」


「うん、逃がすわけにはいかないさ! ね? カイン?」


 二人の少女が声を揃えてそう言い、両脇からガシッとアテュの腕を掴み込んだ。


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