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舐めまわされる清陀

「うきゃああああぁぁぁぁぁッ! 愛しの愛しのマイだあああぁぁーりんんんっ!」

 ダダンッ! と犬耳の少女が飛び込んで来たかと思うと、そのまま清陀に飛びのり、清陀を押し倒した。


「クウウーンッ! シエンヌはあ! シエンヌはあっ! 愛しのマイだーりんとやっとこうして密着し合えて幸せなのですワンンンッ!」

 地面に仰け反る清陀の上に犬耳の少女が跨り、その舌でベロンベロンと清陀の顔中を舐めまわす。


「うわあああっ! ぼ、僕の顔中ベトベトだよっ?」

 顔中を唾液まみれにされた清陀が服の袖で懸命に顔を拭いながら、シエンヌに訊くのだった。

「き、君は誰ちゃん? そういえば魔人ラヴァーズのお屋敷で僕を助けてくれたことあったよね?」


「うきゃああああぁぁぁぁッ! シエンヌのことを知らないだなんて、ひどいです! シエンヌは倫理の教科書の匂いを嗅いでからというもの、貴方を一途に想い続けているですのにいいいっ!」

 シエンヌは哀しそうな瞳で清陀を見た。


「ごめん……なんだかよく分からないけど、僕のことずっと心配してくれていたんだね。ありがとう! えっと、シエ……?」

 お礼を言いながらも名前を言いよどむ清陀に、

「シエンヌ、ですよー……クウウーンッ……」

と、犬耳の少女は力無く応えた。


「セイダーっ! ずっと会いたかったよーっ!」

 愚者ちゃんは喚きながらシエンヌを押しのけ、清陀にムギュッと抱きついた。


「わあ! 愚者ちゃんじゃないかっ!」

 清陀は愚者ちゃんに唐突に抱きつかれ、動揺するも、その頬をすこし赤らめた。

「愚者ちゃんも僕のことを心配してくれていたんだね! ありがとう、愚者ちゃん!」


「そうだよーっ! なんてったって、セイダはアタシのダーリンだからさっ! ダーリン! ダーリン! アタシのダーリン!」

 愚者ちゃんが清陀に抱きつきながら、ベロベロッと清陀の頬を舐めまわす。


「クウウーンッ! その殿方はシエンヌのマイだーりんですよー! 愚者さん、離れろ! 離れろです!」

 シエンヌも負けじと横から割り込んでは、清陀から愚者ちゃんを引き離そうとやっきになるのだった。


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