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地上に降り立った少年

「うわあーっ? この声はセイダの声だーっ!」

 愚者ちゃんは、そう言って上空を見上げた。


 夜空には満月の明かりに照らし出されて、広げられた傘を差した人間の少女らしき黒い影と、その影に抱きかかえられるようにしている人間の少年らしき影が、フワフワと浮かんでいた。


 そして、その人影の傍らには巨大な目蓋のような形の黒い影が並んで浮かび上がっていた。


「クウウーンッ! シエンヌの愛しのマイだーりんが生きていたですねーっ!」

 シエンヌも夜空を見上げながら、嬉しそうにその身を乗り出した。


「んまあっ! 海野君ったら、無事に生きていたかと思えば、あんな得体の知れないゴスロリ女なんかと抱き合っているなんて許せませんわああっ!」

 青峰貴梨花は、夜空でアテュに抱きかかえられている清陀の姿を見て、制服のポケットから取り出したハンカチを噛み締めて悔しそうに呻くのだった。

「キィィィ……許せなくてよ……許せなくてよ……海野君……」


「清陀さん……ご無事だったんですね……」

 愛流華奈も、上空のアテュに抱えられた清陀の姿に安堵の涙を流した。



「ふん! アルカナ! 我はお前のためにこのセイダの奴を助けてやったんじゃないんだからな!」

 アテュは、日傘を広げたまま、フワフワとゆっくり下降し、愛流華奈たちの目の前に降り立った。


「愛流華奈ちゃん!」

 清陀はアテュの腕から離れるなり、愛流華奈の前へと進み出た。


「いろいろと心配させて、ごめん……」

 清陀が申し訳なさそうに、愛流華奈を見つめる。


「いいんですよ……いいんです……清陀さんがトートの『恋人』の世界から、こうして無事に戻って来てくれただけで……私は…私は……」

 愛流華奈は、言葉を詰まらせながら、涙に濡れた瞳で清陀を見つめ返した。


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