アタシたちも丸焼きになっちゃうよー
「あうあーっ? 月ちゃんです?」
「おおっ? 月ちゃんのやろーっ! なんだか元気そうじゃねえか!」
シエンヌとルーヴが空を見上げると、大きな翼を持った女性の背中に月ちゃんと、もう一人別の少女が乗り、こちらへと飛んで来るのが見えた。
「まあ! 森の向こうで黒煙が上がっているなんて、バランスのお悪いこと!」
その背中に大きな翼を生やした、金髪ショートヘアの白いドレス姿の少女、節制ちゃんが、シエンヌとルーヴの元へと降りたった。
「シエンヌ! ルーヴ! やっと合流出来たね……」
月ちゃんは、節制ちゃんの背中から降りると、泣きながらシエンヌとルーヴの二人をその腕に抱きしめた。
「で、でも、こんなところにいるのは危険ですわあっ! 炎が! 炎の勢いがだんだん強くなっていますわよおっ!」
青峰貴梨花は、節制ちゃんの背中から降りると、森の向こうの燃え盛る教会を指さした。
教会の尖塔はもはや形も無く崩れ落ち、真っ黒な炎がモクモクと天にまで昇るかのようにその勢いを増していた。
「うわあーっ! このままじゃアタシたちも丸焼きになっちゃうよーっ!」
紺色の生地に黄色い花柄のワンピースを着た少女が、真っ赤なローブを身に纏う少女を抱きしめたまま、地上に降りたった。
「ねえ、アルカナちゃん、どうしよーっ? セイダがもしあの炎の中にいるとしたら、これじゃとっくに焼け死んじゃっているよーっ……」
愚者ちゃんは、そう言って抱きしめていた赤いローブの少女からその腕を放すことを躊躇うのだった。
「愚者ちゃん、ここまで飛んでくれて、ありがとう……」
赤いローブにその身を包んだ愛流華奈は、愚者ちゃんの腕を優しくそっと放すと、
「……とにかく清陀さんが無事であることを祈るしかないわ……」
とその瞳を涙で濡らしながら、森の向こうの黒煙を見上げた。




