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魔人タワーの巨大な目蓋

「うむ、魔人ラヴァーズよ! 我はお前との不毛な戦いに一挙に決着を付けるべく、この礼拝堂にやって来たのさ!」

 アテュは、宙に浮かんだまま、ゴスロリのドレスの懐から一枚のタロット・カードを取り出し、空中にばら撒いた。


 それは、一つの巨大な目が描かれているカードで、その目が睨む先では、塔が炎の中で崩れ落ち、その塔からは数人の人間がもはや人としての原型をとどめない形で空中に投げ出されている様子が描かれていた。


 また、オリーブを咥えた一羽の鳩と、ライオンの頭を持った一匹の蛇が、巨大な目の輝きを浴びて、のたうちまわっているかのように描かれている。


 カードの下部には巨大なドラゴンの口が描かれ、その口からはすべてを焼き尽くさんとする炎が容赦なく吐き出されている様子が描かれていた。


「16番、The Towerタワー、『塔』のカードより、でよ! 魔人タワー!」

 アテュが叫ぶと、ボムッ! という音とともに空中を舞う一枚のカードから赤黒い煙が噴き出した。煙がみるみるうちに、一つの巨大な目にその形を変えた。


 巨大な目といってもその目蓋まぶたは閉じられており、閉じたその目蓋の隙間から何本もの長い睫毛まつげを覗かせていた。


「ううむ! あれは!」

 礼拝堂右上方に佇むリリスは、突然現れた巨大な目蓋に驚愕の声をあげた。


「き、危険じゃ! あれはホルスの目じゃ! ひとたびその目が開かれれば、宇宙をも破滅させるという、途轍とてつもない破壊のパワーを秘めた魔眼じゃ!」

 リリスはそう言うと、慌てて礼拝堂の床へと降りて逃げ出そうとした。


「ラヴァーズ殿! それにカインにアベルに諸々の者たち! そんな裏切り者の新郎などを追っている場合ではないのじゃ! 逃げるのじゃ! 早よう、逃げるのじゃ!」

 リリスのその言葉に、清陀を追うカインとアベル、白鷲や赤いライオン、オルフェウスの卵、そして魔人ラヴァーズが一瞬、その身をひるませた。



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