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森の中の礼拝堂

 森の中にそびえ立つ教会の内部。


 幾本もの剣があたかもアーチを作るかのようにズラッと並び、礼拝堂の周囲を取り囲んでいる。


 礼拝堂の中央部にはフードを被った大男がその両手を突き出して、祝福と聖別のしるしである『入場者の合図』の形を取りながら、堂々とした貫録を伴い、立ちつくしている。


「ラヴァーズちゃんが失踪して一時はどうなることかと思ったけど、ちゃんと礼拝堂で結婚式を挙げられることになったね! ね? アベル?」

 褐色の肌をしたボブの髪にクリッとした瞳の全裸姿の少女、カインはその左手に一本の棍棒こんぼうを持ち、礼拝堂の中で笑っていた。


「うん! 一時はどうなることかと思ったけど、ちゃんと礼拝堂で結婚式を挙げられることになったよ! ね? カイン?」

 色白の肌に、同じくボブの髪の全裸姿の少女、アベルはその右手に白い薔薇を持ち、礼拝堂の中で笑っている。


「さて、お二人とも、心のご準備はよろしいか」

 フードを被った大男が口を開いた。


「ええ、私は大丈夫です」

 銀色に輝く王冠をその頭に載せ、ミツバチの姿がいくつも刺繍されたオレンジ色のマントを身に纏った魔人ラヴァーズは、黄金に輝く聖杯を手にして微笑んだ。


「う、うん、僕もだよ……」

 黄金の王冠をその頭に載せ、蛇の姿がいくつも刺繍された黄色のローブを身に纏った清陀は、一本の槍を手に持ちながら、すこしうわずった声で答えるのだった。


「あらん、愛しのご主人たまん! どうなさったのん? 少々、お元気がありませんことよん?」

 魔人ラヴァーズが、その切れ長の桃色の瞳をすこし曇らせて、心配そうに清陀の顔を覗き込む。


「う、うん、い、いや、なんでもないんだ……」

 清陀は魔人ラヴァーズにニコッと微笑んでみせるが、その目には躊躇ためらいの色を浮かばせていた。


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