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安らぎの月ちゃん

「あははっはぁーっ! あは! あは!」

 地面に突き刺さる三日月にしがみ付く月ちゃんの元に、節制ちゃんが降り立った。


「まあ! 月さんはカードの意味通り、不安が強いのですね。気分の浮き沈みが激し過ぎます」

 節制ちゃんは手に持つ聖杯カップの片方を月ちゃんの身体の上で傾けた。


 聖杯カップからは、生命の水が溢れ出し、ドクドクッと、月ちゃんの身体へと注がれていった。


「生命の水を潜在意識の聖杯カップから、月さんの肉体の器へと移し替えております。これで月さんのバランスを欠いた情緒も、バランスを取り戻し、安らぎへと向かうことでしょう」

 節制ちゃんが聖杯カップの水を月ちゃんに注ぎ終えると、

「あれえ? あたし、なんだか心が安定してきたよ。なんだかとっても気分がイイなぁー!」

と、月ちゃんが晴れ晴れとした表情で、しがみ付いていたヴェロモトゥールからその手を放した。


「節制ちゃん、ありがとう! 月ちゃんの心を落ち着かせてくれて!」

 愛流華奈は、穏やかになった月ちゃんの笑顔を見て、節制ちゃんに礼を言うと、

「魔術師ちゃんがせっかく知らせてくれているので、あの場所へ今すぐ行きましょう!」

と、空の一点を指し示した。


 空に浮かび上がる「∞」のマークはしだいに薄れ始めていた。


「あら! お空の印が消えかかっているなんてバランスのお悪いこと! 皆さん今すぐ私の背中にお乗りなさい。あの印の場所まで連れて行って差し上げます!」

 節制ちゃんはそう言って背中の翼をバサバサッと大きく羽ばたかせた。


「こ、こんなにも大勢であなたのお背中に乗って大丈夫なのですこと? よ、四人もいますわよ?」

 無事にスカートを穿き終えた貴梨花が咄嗟に声をあげる。


「まあ! そう言われたら、そうです! 私の背中に四人はいくら何でもバランスがお悪いです。二人くらいがちょうど良いバランスです!」

 節制ちゃんがすこし困惑気味に応える。


「困ったわね……節制ちゃんの背中には二人しか乗れないなんて……」

 愛流華奈も困惑しながら、その場にいる貴梨花、月ちゃん、太陽ちゃんの姿に目をやった。


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