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目印矢印元気印

「ではでは、このラヴァーズが、ご主人たまのお着替えをさせてあげますわん」

 魔人ラヴァーズが清陀の着ている服を着替えさせる。


 清陀が着ていた白いナイトガウンが脱がされ、たちまち黄色のローブを身に纏った姿へと変貌させられた。


「うわ? まるでどこかの王様みたいな格好じゃない?」

 清陀の頭の上には、黄金の王冠が載せられ、その手には一本の槍を持たされていた。


「うふん。とってもお似合いですわよん!」

 魔人ラヴァーズは手を叩いて清陀の格好を褒めると、

「私も結婚式用の衣装を身に纏いますわん!」

と言って、用意してあった衣装に自らも袖を通すのだった。


「わあ! ラヴァーズちゃんはまるでどこかの女王様みたいだね! とってもよく似合っているよ!」

 清陀が感嘆の声をあげる。


 魔人ラヴァーズは銀色に輝く王冠をその頭に載せ、クリーム色のフードの付いた、ミツバチの姿が幾つも刺繍されたオレンジ色のマントを身に纏った。その手には黄金に輝く聖杯を持っていた。


「お褒めいただきとっても嬉しいですわん! ご主人たまん!」

 魔人ラヴァーズはそう言って嬉しそうに跳び上がってみせると、

「ささ、早速、礼拝堂に参りましょう! 愛しのご主人たまん!」

と、清陀の手を引き、木々の向こうにそびえ立つ教会の尖塔を見上げたのだった。



「ムムム。これは、まずいことになっているのですかな……」

 木の陰から、魔人ラヴァーズと清陀の二人の姿を見ている一人の少女の姿があった。


「このままではアルカナ殿の想い人が結婚式を挙げてしまうことになるのですかな!」

 黒髪紫眼の白い衣服に赤いマントを羽織った少女、魔術師ちゃんは聖杯カップをその懐から取り出すと、森の中に落ちている落ち葉を拾い集め、聖杯カップの中に落ち葉を詰め込み始めた。


「ううむ! 目印矢印元気印ですかな!」

 魔術師ちゃんはその懐からマッチ箱を取り出し、シュボッとマッチ棒を擦り火を付けると、聖杯カップの中に火の付いたマッチ棒を投げ込んだ。


 ボォン! と聖杯カップの中の落ち葉が爆発し、無限を表すレミニスカートの「∞」のマークが空に打ち上がった。


「うーむ。アルカナ殿には下ばかり見ないで、上を向いて歩いてもらいたいものですかな!」

 魔術師ちゃんは空に浮かび上がった無限の印を見上げて、独り溜め息をつくのだった。



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