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君は手品とかもやるんだ?

「これは、『トートの書』です。二十世紀最大の魔術師と言われるアレイスター・クロウリーの書いた名著ですよ。ご覧になりますか?」

 そう言って愛流華奈は清陀にその本を渡した。


「トートの書? えっと、アレイスター何とかさんって、それ誰? あれかな、魔術師ってことは、帽子から鳩を出したり、人体を真っ二つに切断するけど、ちゃんと身体が繋がってるとか、手品をやる人のこと? それ手品の本なの? 君は手品とかもやるんだ?」

 そう言って清陀は愛流華奈から本を受け取るとその表紙をまじまじと見つめた。


 ハードカバーというのか、けっこうしっかりした装丁のすこし厚めの大きな本だった。


「ち、違います。タロット・カードについてアレイスター・クロウリーがその思想を書き記した、貴重な学術的文献です!」

 愛流華奈は握り拳にした両手をブンブン振りながら、真剣な目をして言うのだった。


「クロウリーは手品師ではありません。魔術師です。魔術と手品はまったく別物ですよ。魔術はむしろ占いと深い繋がりがあって、魔術師であるクロウリーはタロットについても貴重な学術的文献をのこしているんです!」


「わ、分かったよ。すくなくとも、手品じゃないんだね。君がそんなに熱くなって言うなんてまさか僕も思わなかったんだ……でも、手品じゃないってことは、魔術って、あれかな。アニメでよく見るような魔法使いの女の子とかが使う変身とかしちゃうやつのこと? なんか変な呪文を唱えると、パアアッて身体が光って、着ている洋服がお姫様みたいな華やかなドレスに変わっちゃったりさ……」

 清陀は愛流華奈があまりにも真剣な表情で語るのですこし驚きながら言うのだった。


 でも、そう言えば愚者ちゃんも着ていた服が急に僕の高校の制服に変わったりしたしなあ……

 魔術って、やっぱり魔法使いが使う変身の魔法みたいなものなんだな。そうか、現実にそんなことができたら、すごいかもだ! 

 それなら僕だっていっそのこと高身長でもっとイケメンの男の子に変身してやるぞ!


 清陀が目の色を変えながらそう思っていると、

「魔術と魔法も厳密にはまたちょっと違いますが……魔術は世界の根源を知るための叡智であり技術でもある一種の哲学であり、占いとも大いに関連する学問です。……でも、たしかに私の使うタロットもあなたから見れば魔法使いが使う魔法のように見えるんでしょうね。なにしろ愚者のカードから愚者ちゃんという女の子が飛び出して来ちゃったのを見たわけですからね……」

と言って愛流華奈は苦笑するのだった。


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