ご主人たまん、ラブラブん
「う、うーん、まぶしいなあ……」
あまりのまぶしさに、清陀がその目を開けると、燦々と輝く太陽の陽射しがその身体に降り注いでいた。
「うわっ? ここはどこだあっ……?」
清陀が辺りを見回すと、木の生い茂る森の中で、木と木の間に吊るされたハンモックの上に寝かされているようだった。
「わあっ! こんなに高い木の上のハンモックなんかで寝かされているんじゃ、下に降りられないよう……」
清陀がその身を乗り出して、下を覗きこもうとすると、ブラーン、ブラーン、とハンモックが大きく揺れてしまう。
「お目覚めですね? ご主人たまん!」
清陀が困惑していると、ヒラリ、と黄金色の翼を羽ばたかせながら、空中を全裸姿の魔人ラヴァーズが飛んで来た。
「わあ! 魔人ラヴァーズちゃん!」
清陀は魔人ラヴァーズの姿を見るなり、その目の色を変え、甘えた声でラヴァーズの名を呼んだ。
「ねえねえ、ラヴァーズちゃん、僕をここから下ろしてくれない?」
清陀が甘えるように魔人ラヴァーズに頼んだ。
「はぁい、ご主人たまん! ラヴァーズが抱っこしてあげますわよおん!」
魔人ラヴァーズは清陀を優しく抱きかかえると、そのままフワリと翼を羽ばたかせながら、地面へと降り立った。
「ラヴァーズちゃん! 僕はラヴァーズちゃんとラブラブで幸せだよお!」
清陀は地面に足を着けると、魔人ラヴァーズの胸に顔をうずめたまま、嬉しそうに言うのだった。
「私も幸せですわよん、ご主人たまん!」
魔人ラヴァーズはそう言って微笑むと、清陀の頬にチュッ、と接吻をした。
「わあああああっ! ラヴァーズちゃんが僕の頬っぺたにチューしてくれたようううっ!」
清陀はその頬を真っ赤に染め、跳び上がって喜んだ。
「ご主人たまん! こちらの衣装をお召しになっていただけますかん?」
魔人ラヴァーズが清陀に丁寧に折りたたまれた一着の衣装を手渡した。
「わあ? どうして着替えなきゃいけないんだい?」
清陀がその衣装を広げてみると、それはクリーム色のフードが付いた、幾つもの蛇の姿が刺繍されている黄色のローブだった。
「うふん。これから、あの礼拝堂で私たちは結婚式を挙げますのよん! これは結婚式で着る衣装にございますのよん」
そう言って魔人ラヴァーズがとある方向を指さした。
「わあ! こんな森の中に教会があるなんて! なんだかとってもロマンチックだなあ!」
清陀が魔人ラヴァーズの指さす方向を見ると、生い茂る木々の隙間から、教会の尖塔らしきものが顔を覗かせているのが見えた。




