渋る月ちゃん
「ま、待てえっ! 魔人ラヴァーズめえええっ!」
アテュは慌てて、廊下の窓を飛び出し、魔人ラヴァーズと清陀の後を追いかけていった。
「クウウウーンッ! シエンヌの愛しのマイだーりんが、恋のキューピッドさんにさらわれましたああああっ! オーッ! ショック! 恋のキューピッドさんが恋の矢で自分の恋を叶えるとは、ずるいですっ! シエンヌは恋のキューピッドさんから愛しのマイだーりんを奪還するですワンンンッ!」
シエンヌは半べそになりながら、廊下の窓から外へとその身を乗り出し、魔人ラヴァーズと清陀の後を追いかけた。
「ちょ、おいっ! シエンヌ待てよっ! お前が追いかけて行くんなら、このオレも行かなきゃカッコつかねえじゃんかよおっ!」
ルーヴは慌ててシエンヌに続き、廊下の窓の向こうへと飛び込んでいくのだった。
「わぁっ! ラヴァーズちゃんが、あの男の子と駆け落ちしちゃったよ? ね? アベル?」
「ホントだ! 明日の結婚式を前にして、未来の旦那さんと駆け落ちしちゃった! ね? カイン?」
取り残された裸の姉妹たちは揃って動揺していた。
「なんとかしてラヴァーズちゃんたちを追いかけよう! ね? アベル?」
「そうだね、なんとかしてラヴァーズちゃんたちを探さないとだね! ね? カイン?」
困惑した表情でお互いに顔を見合わせると、カインとアベルは廊下の窓から外へと飛び出していった。
「月ちゃん! 私たちも清陀さんを追いかけましょう!」
愛流華奈が月ちゃんにそう言うと、
「ううーん。なんだか、あたし自信なくなっちゃったなあ……」
と、月ちゃんは不安そうに言うのだった。
「月ちゃんのヴェロモトゥールで飛べば、きっと魔人ラヴァーズに追いつけるわ……」
愛流華奈が困惑気味に月ちゃんを説得するも、
「ううーん。あたし気分の浮き沈みが激しいんだよね。今はとっても不安な気分だよ……」
と、月ちゃんは下を向き、いじけてしまうのだった。
「困ったわ……」
月ちゃんの態度に、愛流華奈も不安な気持ちに苛まれてしまう。




