第2話
「・・・迷った」
たっく、この図書館広すぎるんだよ、清水さんに頼まれ、このビン、いやビンの中に入ってるこの・・・なにこれ・・・目玉?クラゲ?『目玉からクラゲの触手見たいなモノが伸びてるもの』を龍さんに渡さないといけないのに・・・
「30分は彷徨ってるよ・・・あぁー誰かソコをふらっと、通らねぇーかなぁ」
あれ?俺このまま迷い続けたら?・・・・いや・・・いやいや、それはない、ないよね?
「・・・流石に、俺が居なくなった事に、おかしいと思う人いる・・・」
あの人平気で人とか、殺す人達、だぞ、俺が居なくなったことなんて、気にもしないんじゃ・・・
「・・・・・とにかく!手当たりしだいに扉を開けていこう!」
「50連続はずれ・・・」
なんだか冷や汗かいてきた、ま、まぁ次の扉が、出口か・・も?
ゴトッ
!今の音、誰かいる、何か鉄の塊を落としたような音だった、そんな事はどうでもいい、誰か
「何顔色変えて、飛び出してきてるんだよ、危うく、ボクの心臓が止まりそうだったよ」
「・・・れ、れいなちゃぁぁぁぁん」
不安から脱出した俺は、半泣きで麗奈ちゃんに抱き着こうとするが、避けられる・・・それもそうだよな
「なるほど、この図書館で迷った訳かい」
「ハイ」
俺、こんな小さい娘に、泣きながら抱き着こうとしたのか・・・我に返ると、変態でしかないな・・・
「・・・ハァ~、そう言う事なら、さっきの君の行動は忘れよう」
「ありがとうございます」
「あと少し気になったんだだが、何故ボクを『ちゃん』ずけで呼ぶ?」
「・・・そりゃ、小学生を呼び捨て、て言うのは・・・?」
あれ、麗奈ちゃんが呆れたような、見下したような、怒っているような表情で俺を見ている
「最初に行ったはずだ、ボクは、中学生だよ・・・」
「そういえば」
「チビと言いたのかい?君は、この中学二年で14歳のこのボクが小学生の低学年に見えると言いたいのかい?」
ブーーーーーーーーーーーーン
「五月蠅い」
零士は、読書に集中したいため、耳元に来た1匹のハエを手で振り払う。
ブーーーーーーーーーーーーン
零士は、もう一度振り払う。
ブーーーーーーーーーーーーン
もう一度。
ブーーーーーーーーーーーーン
さらにもう一度。
ブーーーーーーーーーーーーン
さらに。
ブーーーーーーーーーーーーン
そして。
「・・・うるせぇえええええええええ!ぶっ殺してやるッ!出てきやがれェェェェ!」
零士は鬼の形相でハエを追っかけまわしてどこかへ行った。
「待ちやがれェェェェェ!」
「い、今の声って」
俺が麗奈ちゃん、いや、麗奈さんに説教をくらっていると、零士さんの声が聞こえてきた
「・・・兄さんの声だね、どうせくだらない事だろう、冷かしに行こう」
「冷かし、て・・・」
とりあえず、俺は麗奈に付いて行く
「ハァハァ・・・どこ居やがりやがるゥ!出てこいやァ!」
「おーい、糞兄、何をそんなに必死になってるんだい?」
「あ?あぁ麗奈か・・・」
「別に、何でもねぇ・・・ハァハァ・・・」
凄い汗かいてるけど零士さん大丈夫だろうか
「!そのビン、あれか、クラーケンの幼体」
すっかり忘れてた、これ龍さんに届けるんだった
「これ、龍さんに渡したいんですけど、どこ居るか知りません?」
「アイツならここ真っ直ぐ行った所にいるよ」
そう言って零士さんは倒れる、体力の限界だろう、ホント何してたんだ?この人
「あー・・・とりあえず、ボクはこの愚兄を運ぶから、出口は龍に聞いてくれれば分かるよ」
そう言って麗奈は零士さんをおぶり、どこかへ行った、よくあの小さい体で零士さんをおぶれるな
多分ここだろう、ここでしかない、理由は簡単、図書館の本棚や展示品?が避けられ、広いスペースが出来ている、そして、ベンチプレス、ルームランナー、エアロバイク、よく分からないがトレーニング機材、そこらへんに転がっているダンベル、etc・・・
「龍さん、居ます?」
「99997・・99998・・・・99999・・・・100000ッ!」
そこには、片腕、いや指二本で腕立て伏せしてる龍さんがいた、確かに筋肉凄いと思ってたけど、こんな事してるとは、少し引く・・・
「フゥーッ・・・次は逆の腕で百万回だな!」
この人、馬鹿なんじゃ・・・?と、いけない呆れて要件忘れるとこだった
「龍さん、清水さんがこれ渡せって」
「おっ悠介か、これは?」
龍さんにビン、もとい、クラーケンの幼体?を渡す、あれこの人、何渡されたか分かってない?
「・・・・あ~これか!クラーケン!」
分かってた・・・よし用事は済んだ、出よう!ココから一刻も早く
「龍さん!この図書館の出口てどこ!」
「うぉっ!悠介!?どーしたいきなり!」
「俺は早く!外に!出たい!」
自分で驚いた、俺はいきなり何言ってんだ、外に出たくて軽くパニック状態じゃねーか
「で、出口ならそこから」
龍さんはすぐそこの扉を指さす
悠介は何も言わなかった。
ただ機械的に素早く。
扉に近寄り取っ手を握り。
開き。
図書館から出て行った。
「・・・・どうしたんだ、アイツ・・・」
悠介が図書館を出て数時間後。
ギリ・・・ギリ・・・・ギリ・・・・・・
龍が悠介に渡された、クラーケンの幼体、が干からびたもの、を削っていた。
「硬い・・・」
ギリ・・・ギリ・・・ギリ・・・・
「おーい、龍」
龍の少し後ろで、零士が龍を呼ぶ。
龍は手を止める。
「ふぃー・・・なんだよ、コレ今日中に削り切りたいんだが」
「君島さん、から」
「!なるほど、で、どこになにがある?」
「とある空き家の地下に『聖処女の魂』だってさ」
1階喫茶店edge
「あ、レイジ出かけるの?」
「あぁ聖処女の魂が見つかったんでな」
「ふーん」
「・・・なんだ・・・その目は?」
「べっつにーふーんーへー」
アイナが零士の周りをグルグルしている、はたか見たら「のろけ」だな
「オイ零士、イチャついてないで、行くぞ」
「だッ誰がイチャついてるだッ」
零士が俺に吠える
「ハイハイ、お前らが相思相愛なのは、誰しもが知ってる事なんでな」
そう言って俺は零士を置いて外に出る
「なっ・・・てっテメーッ」
零士が出てきた
「べべべべっ別に俺はアイネの事なんて」
「・・・ツンデレのテンプレ台詞を、お前が言うのか・・・」
「いってらっしゃーい」
とある空き家の前
「ここか、割とキレイなもんだな」
「君島さんが言うのは、この家の地下にあるらしい」
「あ、零士さん、龍さん」
悠介が偶然通りががった。
「お、悠介お前も来るか?」
「え?」
「おい、零士お前の言わんとしてることは、分かるが、それで伝わる訳ないだろ」
・・・零士は悠介を引きずりながら連れて行きましたとさ、予想どおりだな
「2人とも見つかったかー」
零士の声だ、今地下への入り口を探している
「こっちは何もないです」
今度は悠介
「俺の方・・・は?」
なんだ床に窪みがる・・・とりあえず、思いっきり踏んでみるか
「フンッ」
ダンッ
「ッ痛ー」
背中がすごい、いたい
「おーい龍大丈夫かー」
上に光がある・・・・落ちたのは3mくらいか
「大丈夫だ、お前らも降りて来いよ」
「これって」
悠介が疑問を口にし
「扉」
零士が答え
「だな」
俺が肯定
「開けるしかない、か」
零士がドアノブに手をかけ、少しだけあける、うっ臭い
「何だこのニオイ!?」
「これ、腐乱臭だな」
悠介の問いに答えてやる、零士はお構いなしに扉を開ける、そして中へ
「へーこんなんなってんだ、臭いけど」
「零士相変わらず呑気だな」
「おっおえぇ」
平然としているをよそに、悠介が吐く
「オイオイ大丈夫か?」
「は、はぃ」
暗くてよく分からないが、西洋の城の中みたいな場所だ
「明かりをつけるぞ」
零士はかるく手を前に突き出し拳を開く、炎を作った。
「センスねーな」
零士はセンスを否定。
「うわぁキモチわりぃ」
龍は嫌悪感を抱き。
「うぉおぇえ」
悠介はもう一度吐いた。
零士達は廊下のようなところにいた。
だが普通の廊下ではなく
壁に、手首から先と足首から先、そして首から先のない女体が裸の剥製としていたるところに飾られていた。