ある日、村にて
ーある日、村にてー
そこには、見たことない村があった。というよりか、ヨーロッパ中世の村みたいな。
タクシーから出ると、周りの人から奇異の目で見られた。
やめろよ、そんなに見つめられたら、照れるじゃねーか。
「いかでがすかな?この町は?」
「おい、今すぐ俺をもとの場所に帰せ。」
「それは無理ですな。異世界移動はかなりの気力が必要ですので連発は無理なのです。」
「きりょく?」
「ええ、気力は通称EPと呼ばれておりまして、霊術を発動するのに必要なエネルギーのようなモノなのです。」
「ふーん。それ、回復できないの?」
「自然にEPがたまるのを待つしかありませんな。」
「それ、お前の場合、どれくらいかかるの?」
「2年です(笑)」
よし、こいつは人のいないところでシメるか。そう思ってた矢先、周りの人達が話しかけてきた。
「おお!賢者さまではありませんか!」
「え!?賢者さま!?」
「すごい!あの方が世界に7人しかいないと言われている!」
セバ爺も笑顔でそれに答えていた。
「フォッフォッ!皆様ご機嫌いかがですかな?」
「セバルド!!帰ってたのか!」
何やら、この村の村長っぽいのがやって来た。
「おやおや、これは村長どの!」
村長だったんかい。
それと、どうやらセバ爺の本名はセバルドらしい。あと、賢者って……案外とんでもない奴なのかもな。
「すると、その子が?」
「ええ。なかなか活きの良い少年ですぞ」
おい、人を魚みたいな扱いするなよ。
「!それはそれは!では、少年。名前は?」
「松見 修一です。」
「フムフム。シュウじゃな。よろしく、シュウ。」
あれ、何で略した。
「そうか!シュウか!」
「よろしくな!シュウ!!」
「俺、ロベルトだ!よろしく!」
周りは俺の名前を知るや否やすぐに打ち解けてきた。まあ、シュウでいいけどね。
「では、早速。スキルを頂きに行きますかな!」
「スキル?」
「ええ、この世界では人はそれぞれスキルを持っており、そのスキルによって自身ステータスの向上スピードも異なるのです。」
「では、セバルド。後は、まかせたぞ。」
「ええ、このセバ爺にお任せを」
そうして、俺は教会っぽいところに連れてかれた。
「おい、まてセバ爺。いい加減俺をここに連れてきた理由を教えろよ」
「おお!そうでしたそうでした。このセバ爺、すっかり忘れておりましたな。」
うん。殺気が上がっていくのが自分でもわかるぜ。
「この世界では魔ぞk…」
「それはさっき聞いた!!なぜおれなんだ!?」
「それは、追々話します。ただ、あなた様には私がこれからの世界に必要なスキルのポテンシャルが頭1つ抜けていることを知ったからなのです。」
はあ。
「いまから、行う儀式はあなた様のポテンシャルに見合わせたスキルを見定めるものですぞ」
そうして、セバ爺は何かボソボソと呟いた後、突然の光が周りを包んだ。一瞬の出来事に俺は反応する暇もなかった。
「終わりましたぞ」
何だったんだ、今のは。
「さて、シュウ殿。手の中にある紙切れにはなんと書かれておりますかな?」
気付けば、俺の手は紙切れを握っていた。いつの間に……
「一撃使い?」
「!!!」
「おい、セバ爺。どういうスキルだ、これは?」
「そ、それは。まさか、いや、しかし……」
「おい、セバ爺?どうした?」
おいおい、まさか俺、伝説の○○てきなスキルゲットしちゃったんじゃないの?(揚々)
「ふむ、存じませんな」
「知らねーのかよ!!!」
てか、お前、賢者やめろ。
「いやー、なんですか?その中二病ちっくなスキルは?シュウ殿も大変ですな~笑笑」
「ここに連れてきたのはお前だろ!!」
「さてはともあれ、シュウ殿の持っているスキルも協会に行けば分かることですぞ。」
「協会?」
「さよう。協会とは各々の役職に就けるほどの力量を身につけるまで通う、一種の学校みたいなものです。あなた様にはそこで力をつけていただき、王の御目に留まるぐらいの実力を世に見せて頂かなければなりません。そのために私はあなた様をここへお連れしたのですから。」
……なんて御都合主義全開なジジイだ…
しかし、この世界の役職も、俺の持つスキルも気になるし、もう少しだけこの茶番に付き合うとするか。




