01 孤独
猫を飼って存分に触りたい。特に肉球。にくきゅー。
ああああああああねこおおおおおおおおおお!!
※作者は病人です。これは発作ですのでお気になさらず。
昔から、人と話すのが苦手だった。楽しい気分も、悲しい気持ちも、感動も、涙も、ぼくは打ち消してしまう。
『人を無表情にさせるロボット』
それがぼくのあだ名だった。
でもそれでよかった。気にしてなかったんだ。コミュ障、って言うんだっけ。ぼくはそれらしいから、相手から話しかけられないのは気楽だった。
・・・彼女に逢うまでは。
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ぼくは、病院に来ていた。母親の見舞いだ。父親はぼくが生まれる直前に他界した。「元」親友に騙されて借金を抱えてしまい、殺されたのだ。
つくづく、人を信じてはいけないと思う。
「景、どうしたのぼーっとして?」
「あ、いやちょっと考え事。」
「お父さんに似たのかねぇ、思慮深い子だものねあなたは。」
うふふ、と母さんは笑う。痩せ細った体と、しわしわの顔で。
「あなたのお父さんはね、そりゃあもうかっこよかったんだから!」
「はいはい。そうだね。」
いつもの惚気が始まる。見ての通り、母さんは今でも父にぞっこんだ。
・・・すぐ離婚するカップルが多い世の中、なぜ両親のような夫婦が一緒にいられないのだろう。
本当に腹が立つ。
「・・・それでね?お父さんが私に、「結婚しよう」って言ってくれてね?もう・・・」
殺風景な病室に、母さんの明るい声だけが、優しく響いている。
ぼくはそれを聞いているだけで、しあわせだった。
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「じゃあ帰るよ。またね母さん。」
「うん、帰り道気を付けるんだよ?」
「分かってるよ、ありがと。」
景がいなくなると、看護師が口を開いた。
「本当に親孝行でしっかりしたお子さんですね。」
「ええ、ありがとう。・・・でも、心配だわ。私が死んだ後、誰があの子の隣にいてくれるのかしら。あの子は世界を恨んでる。なにかのきっかけでそれが愛や感謝に変わればよいのだけれど・・・。そうだ!看護師さん、ちょっとお願いを聞いて下さる?」
「なんでしょう?」
「あのね・・・」
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《一年後》
ぼくは高校生になった。そして、母がこの世を去った。入学式当日だった。もちろん欠席し、ぼくは最後を見届けた。最後の言葉は、
「あなた自身と、あなたを愛してくれる人を、本当に、大切に、して、ね・・・・・。」
だった。
涙は出なかった。いずれこうなる事は予想できていたからだ。
ぼくは、天涯孤独になった。
ここまでお読みくださりありがとうございました!
うん、恋愛未経験者が書く恋愛もの(?)だけど、楽しんでくれたら嬉しい!
感想待ってます!たぶん5話か10話で終わります。