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第五話 貴女と私 / (終)「半身」(1)

長いですので三分割でお送りします。

半身



 応接間では無い応接間に一色朱水(いっしきあけみ)は座っていた。その顔色は驚きと呆れが入り混じる絶妙な物であった。

 驚きは目の前の惨状故に。壁の一角には大穴が開いており、雨風が入らぬようにと応急措置として張られた青いビニールシートが見る者に痛々しい印象を与えていた。

 呆れは目の前の双子故に。彼女等はそんな状況でものほほんと日本茶を啜っていた。

「これまた酷くやられたのですね」

 そんな双子の態度に隠しきれない感情を抱く朱水は『酷く』の所を強調した。

「そうね。思っていた以上に手強い侵入者だったみたい」

 双子の姉、伏原相(ふしはらたすく)はそんな事を気にもせずに相変わらずの他人事口調で言うのだから朱水は更に呆れる。

「侵入者が現れる事が事前に分かっていたのならば何故本館に連絡を入れなかったのですか?」

 それも侵入者と言われるだけの事はあり、実際にこの箱牢に押し入る事が出来る輩と分かっていたのにだ。朱水にはそれが納得いかなかった。

「貴女達は……その……」

 苛立ちから思わず心中の言葉を口にしてしまいそうになり慌てて閉口する。しかし相は朱水が言いたい事を見透かしている様で、お茶を一度大きく音を立てて啜った後に口を開いた。

「重物、でしょ。分かってはいるわ」

 聞き飽きたからもう二度と言わないでくれ、音にされないそんな心を顔で示している様だった。

「そうです……。貴女達を物として扱っている様で不快に思われるかもしれませんが貴女達の力を考えると仕方のない扱いなのですよ」

 今度は相の横にいる双子の弟の方、伏原温(ふしはらあつし)がため息をつく。

「物として扱われる事には慣れているのでお気になされずに」

 それに同意する相の声が続いた。それは何とも嫌気が滲み出ている言葉であった。

「そうそう。今更よね」

 二人とも息のあった仕草で日本茶の残りを飲みこみ、湯呑みを空にする。

「……そんな貴女達がこのような危険に曝される事は絶対に避けられるべきなのです。連絡していただけたら早急に私の部下でも何なりとこちらに向かわせたのですけど……」

 そうならなかったからこの結果を招いた、そう想わせる口ぶりであった。言葉と態度は穏やかであっても完全に責めている口調である。

 心配と言えば心配であっただろう。しかし朱水の心を埋めていた心配は非情な物である事を双子は感じ取っていた。一色朱水は身内以外に冷たい、これは彼女を知る者ならば誰でも分かっている事であった。

「間に合っていたから。いえ、間に合う事を知っていたために連絡しなかっただけよ」

 相は未来を知る事が出来る大変貴重な能力を持つ魔である。その彼女が言うのだから「分かっていた」という事実を疑う事は出来ても否定できる者はいない。朱水も例外でなく、相の既知を否定することは無理である。故にその言葉で納得するしかなかった。

「わかりました。ですが建物は空気では直りません。被害を最小限に出来たかも知れないとだけは伝えておきますね」

 つまり今後は連絡するように、と言う『命令』であった。直属の頭首ではないが魔を統べる者として一色朱水は伏原姉弟の上に立っているのだ。双子もそれは分かっているので素直に首を縦に振った。


 今この時から見ると昨日の事である。起き立てでありながらさわやかな顔をして朝食を愉しんでいた一色朱水は一本の電話を受け取って、丁度トーストに塗っていたマーマレードの様に眉を動揺で曇らせる事となった。

 電話の主は縁深いとある領主であった。その領主が言うには彼の管理下にある魔の生ける宝である伏原姉弟が何者かに狙われたらしい。何重にもあった扉は全て破壊され正々堂々真正面からの侵入を許したとの事だ。本来なら早急に領主である彼が伏原家に出向くべきなのだが、姉弟は自分達が興味を抱く人物以外に対しては心を開かないためこういう時でさえもこの領主は一色朱水の力を借りようとしてきたのだった。

 そして今一色朱水は幾重にもあった鉄扉が打ち抜かれた伏原家の離れにいた。


「それにしても酷い有様ですね。侵入者の姿は見たのでしょう?」

 一色朱水はその性格故に年下の、ましてや部下相当の相手に対してでも丁寧な口調だが、一方の伏原相は目上の相手である鬼神に対してでさえも気にせずいつも通りであった。いい加減朱水も慣れて来たもので彼女の態度にいちいち目くじらを立てたりはしない。いつも通りと言う表現なら温の方も等しいが、こちらは朱水と同じく普段から淑やかであるため彼女の苛立ちを煽る事は無い。

「見たと言えば見たわ。とりあえずわかる事は女で、割と若いってことくらいかしら」

「若い……ですか?」

 女と言う事に驚きはしないが若いと言う単語に朱水は耳を動かした。

「ええそうよ。容姿と年齢が合っているならあれは十代やそこらね」

 朱水はその言葉を聞いてから再び壊れた壁の大穴を隠すシートを見焦がす。

「そうですか……。それで、その者はどの様に侵入してきたのですか?」

 朱水の問いに相でなく温が口を開いた。相は細かい説明を省いてしまうと分かっていたために咄嗟に間に入ったのだ。

「素手でした。魔法による補助を受けていた様ですので恐らく人間だと思います。大きく一度揺れたと思うと次に館に轟音が何度も響き渡りました」

 恐らく最初の揺れは本館への侵入、轟音は二十一枚ある鉄扉を破り抜いた音であろう。最初の五枚に致死性の魔法を枳が追加したにも拘わらずその女はそれすらも潜り抜けて来たのだった。

「一応侵入者が来ると言う事実は既知していたので頼れる人物に横にいてもらいました。何時襲いかかってくるかまでは分かっていなかったので付きっきりで」

 朱水は温の言葉で眉を動かしたが静かに温の述を耳にしていた。温の言う頼れる人物と言うのが(からたち)であると朱水はしっかりと理解していた。

「侵入者は登場いの一番に御嬢様に掴みかかろうとしましたがあの方の部下さんが守ってくださいました」

「部下……それが貴方達の手紙に書いてあった人物なのね」

「はい。どういう経緯かは存じ上げませんが枳様はこちらに住まわれている間に星井加々(ほしいかがみ)と言う女性を雇い始めました。彼女も枳様と共に本館の方に住まわれていられます」

 途中から朱水が目線を落として押し黙ったため温は暫らく様子を見た後に再び述を繋げた。

「星井様は体術が得意な御方で、侵入者と互いに潰しの一撃を殺しながら打ち合いました。恐らく奇襲のみが作戦だったのでしょう、侵入者はその手が御嬢様にたどり着けないと悟ると即座に方向転換し、壁を壊して庭へと下り逃げました。故に私達に危害が及ぶと言う事はありませんでした」

 それに続き星井加々美も庭に下り立ったがその前に三人の無事を確認する事に時間を数秒費やしたために、既に相手の背中は霊力で乗り越えられない様に細工してあるはずの壁の向こうにあったと言う。

「諦めが早いのですねその女」

「女とはどちらを指していられるのです? 星井様なら一度戻ってこられ報告をした後に再び出て行ったきり未だに帰ってこらませんが?」

 例え知り合ってから短くとも隠し心に気に入った相手を貶されるのは心に重りを抱く彼ですら怒りをたぎらす様だ。珍しく朱水に対して棘のある言い方をした。朱水はその棘を顔で受け止めながらも無視して自身の内を告げる。

「勿論侵入者の方よ。その星井と言う女性の安否は確認できているのですか?」

 温は朱水の反応に少し驚きを内沸させた。温の予想ではまず朱水が気になる事は侵入者の行方であって、その口から人間の安否を気にする内容が零れるとは夢にも思っていなかったためである。しかし温はその驚きを表には出さず、静を装い答えた。

「御本人から電話を何度か受け取っています」

「そう、なら安心ですね」

 再びの意外すぎる呟きに、静けさを決め込んだ温と違い、相は顔を訝しに歪めた。されど二人とも朱水の変化の理由を聞き出すなどと言う無粋な真似はしなかった。

「それで、あの子は今何処にいるのでしょうか?」

 あの子とは当然ここに厄介になっている鬼神城の一人、枳の事を指す。一色家から距離を置く事を望んだ彼女は、しかし朱水の手が届く範囲に居を構えた。朱水がここへ足を運ぶ事に了解した理由の九割分が彼女である。

「貴方が来ると分かったら本館へ戻ったわ。まだ顔を合わせられない様ね」

 事情を深く理解している相は枳のその幼い行動に苦笑いを浮かべる。

「……あの子がまだ私と会いたくないと言うなら私から会いに行くべきではないですね」

 それは自分を止める言い方であった。しかし本心と裏腹というで無く、拮抗する感情を言葉という重りを置く事で片側に傾けさせている、そんな様子であった。朱水の返しに双子は内心で同じ事を思いつく。一色朱水も枳も相手を恐れる故に近づけないのだと。

 朱水はここで初めてテーブル代わりの台車の上に置かれたお茶に口をつける。既に出されてから時間が相当過ぎているため冷めきっていたが、喉の奥から飛び出してきてしまいそうな言葉を飲みこむのには適していた。


 朱水が一息ついているために無言であるので双子も何も言葉にせずにただその姿を眺めていた。




「とにかく貴女達が無事である事は幸いでした。しかし先程も言った様にこういう事が事前に分かっていたならせめて私にだけでも通達してくださいな」

「善処はするわ」

 相の緩い返答に朱水は苦い顔を構えたが頭を小さく左右に振り、反応しそうになる自身を抑えた。伏原相とはこういう魔だと自分に言い聞かせる。

「館は業者に頼んで直してもらいます。領主会に報告するので恐らくこの様な事が二度と起きない様にと今度から更に堅固な城になるでしょう。あの子にも力を借りてくださいな」

「そうは言うけれど今回の侵入者みたいな奴に対して意味のある行為かしら? 枳の魔法ですら効かなかった化け物よ?」

 確かに、と朱水は内心で同意した。二十一ある鉄扉の内、本館側の五枚には枳による種類の違う致死性の魔法がかけられていたのに関わらず侵入者は少なくとも内部に侵入して白兵戦を行える程に体を保持していた。

「侵入者は五体満足でしたのですね?」

「そうよ。目だった怪我も無かったわ。あれを見た時に一番始めに思ったのはあの通路を通ってきた癖に『綺麗過ぎる』と言う事だったわ」

 無傷という事実を見せつけられると無駄な足掻きなのかと諦める気すら湧いてしまうものだ。

「でも待って。そうなると少しおかしいわね。そんな力を持っていたあれは何故に引き下がったのかしら」

 相は自分の言葉に違和を感じたのか、独り言の様に小さく疑問を挙げた。

「無傷でいられる程の実力を持つ者が何故か拳を何度か振っただけで逃げ帰ったのですね……確かに妙な話です。その星井加々美と言う人間は格闘に優れているのですか?」

「どうかしら。あくまで彼女のは人の動き、幾らか拳を交えただけで諦めを抱かせる程の代物とは思えないわね」

 相の言葉に温も頷いた。その線は薄いらしい。

「どうにも分からないですね。それに目的も明確ではないのですね?」

 双子は同時に頷く。それを見て朱水は頭を抱える。

「正々堂々真正面から来た理由も分からないのよ。だってそうでしょう、逃げる時には越えられないはずの壁を越えていったのよ? なら来る時だってそっちを使えば賢いじゃないの」

 二十一の鉄扉がある通路を形成している壁は厚く、女の侵入経路から察するにその壁を壊す事は出来ないと言う事は推測できる。

「ふむ……」

 朱水は何を思ったか急に手を二回打ち鳴らす。

(あおぎり)、ちょっといいかしら?」

 そう、朱水が誰もいない背後に向かって言い放つと不思議な事に鬼神城が一人、梧が現れた。それはまるで最初からそこに居たかの様に落ちつき払って直立していた。彼女は閉ざされた瞼を開ける事無く「何でしょうか」と応えた。

「通路の外壁を調べてきて頂戴な。大きな衝撃を受けた跡があれば女の限界が分かるわ」

 了解と小さく呟くと再び梧は姿を消してしまった。

「相変わらずあの子は気配がつかめないわね」

 相は少しだけ悔しがる。

「星井加々美のペットは簡単に見抜けたのに、あの子はどうにも駄目だわ~」

 自分の目に誇りと自信を持っている彼女にとって梧の存在は力不足を指摘されている様なものだった。

「仕方ないですよ。あの方は鬼神城、相当な実力者でないと星によって選ばれませんもの」

 温は梧の事を熟知しているような口ぶりであった。温の力は過去視、もしかしたら鬼神城の過去ですら覗けるのか、と朱水は疑問に思った。鬼神城は過去に実際に存在していた深き魔の力を引き継いだ新しい命である。つまり鬼神城として以外の過去を持っている事になる。しかし朱水は温にその事について訊ねる事無く疑問を心に放り捨てた。好奇心で過去を暴く事は彼女達にとって不快な行為であろうと察したのだった。


 梧が戻ってくるまでにはさほど時間を貪る必要は無かった。戻ってきた梧は朱水に耳打ちする。

「そう……。分かったわ、もう戻って結構よ」

 朱水がそう命を下すと梧は一度深く礼をすると空気と同化する様に消えていった。

「壁には何一つおかしな点は見受けられなかったそうです」

 朱水は観念したという響きで言葉を吐いた。

「相手の実力を推し量る事は出来ない、か。お手上げね」

 相も同じ響きで呟いた。

 朱水はその姿を見て頃合と知り、帰り支度を始めた。

「とりあえず報告書を貴女達の領主に送ってください。この件は先程も言った通り領主会に持ち込むのでそこでまた侵入者の目的その他諸々を議論すると考えられます。よろしいですね?」

 双子は一度顔を見合わせてから同時に頷いた。朱水はそれを見届けてから立ち上がる。

「では私は帰りますね」

 帰り支度と言っても今回の訪問は状況視察のためであり、荷物は小さなポシェット一つであるためそのベルトを肩にかけるだけで終わってしまう。

「いずれこの館は修理等で騒がしくなるでしょうから相は喜びそうね」

 朱水はにこやかに笑いかける。相はその言葉にこちらも唇端を小さくだが上げた。

「朱水様」

 急に温がボソリと朱水の名を呼んだため、既に一歩扉へと歩み進んでいた朱水はその温らしくない仕草に戸惑いながらも足を止めて応えた。

「なんでしょうか」

 しかし即座に温の口から言葉が紡がれると言う事は無かった。立ったままの朱水の視線と行儀よく座っている温の視線がぶつかり合う。相も温の普段とは違った様子に声を出す事が出来ないでいた。


 長い沈黙であった。


 口を開いたかと思うと温は何も音を発さずに再び両唇を付ける。声にする事を躊躇っている、それがあまりに容易に分かる姿であった。

 朱水に、彼の特殊性を熟知していた故その言葉を待たずに振り切ってこのまま帰ろうかという考えが浮かぶ。それは怯えであった。彼女は未を覗く伏原相よりも、過を暴く伏原温の方が甚だ恐ろしいのだ。しかし朱水は怯える心を蹴りやって無理やり声を絞り出した。

「言いたい事があるのでしょう?」

 朱水の唇が微かに震えていた。温はその震えを見て開けた口を再び閉じる。

「言いなさい。命令です」

 朱水の口から殺気さえ纏った低い声が躍り出る。それは自身を奮い立たせる意味もあった。

 その声の主の目色を見て温は一度目を深く閉じ、喉を往来していた言葉を吐き出した。


「景様はどうなっていられますか?」


 それはやや広い部屋に異様な程響いた。


 そして世界を凍りつかせた。


 温の視線は朱水の目を真っ直ぐと射抜き、

 相はその温を驚きの目で見つめ、

 朱水は宙に視点を泳がせた。



 朱水の手は血が滲む程固く握りしめられていた。



 長い間その状態が続いた。お互いに何も出来ないでいる。


 ジリリリリリリ


 静けさを砕く様に内線の電話がけたたましく吠える。相は驚きに跳び上がった勢いで受話器を手に取り耳を当てた。

「私は……これで」

 これを機と、扉へ逃げる様に足を動かす朱水を温は憂いを含んだ目で見つめる。その唇が動く事は無かった。


 ノブへ手をかけると朱水は少しだけ体を止める。内線での連絡を受けている相も顔だけは朱水の方へ向ける。

「温……貴方の力は凶器なのよ」

 それだけ言い捨てると朱水は二人の反応を見る事も無く、そそくさと扉の向こうへと消えて行った。

「はい。分かりました」

 相は受話器を置くと小さく溜息をついた。

「父親からよ。加々美さんから連絡が来たって」

 相は心労からか少しだけふらつきながらソファーへとお尻を置いた。しかしその相の言葉に温は何の返しもしなかった。

「温?」

「分かって……います……」

「何が?」

 温は涙を浮かべた目を相に向ける。相は初めて見る温の表情に衝撃を覚えた。


 そして同時に朱水に対する怒りも。


 自分の大切な弟を泣かした相手は例え鬼神であっても憎むべき相手である。彼を困らせて良いのは永遠に彼と交じり合う事の無い私だけなのだ、彼に影響する事が出来ない私だけなのだ、そう相は苛立ちを噛みしめる。そうでなければ彼が壊れてしまうから。


 例え頭の中でちょっかいを出したのは温の方なのだと理解出来ていても、それは感情で塗り潰されてしまっていた。


「分かっています、私が疎まれる者だと言う事くらい……」

 温は相を求める。いつも気遣って大事にしてきた姉に、いつも一歩引いて見守ってきた姉に、初めて自分から抱きついた。

「どうして私達はこんななのでしょう」

 女のそれにしか見えない温の顔が悲しみに歪む。鉱石の瞳から藍方石の涙が零れる。相は益々朱水への怒りを煮えたぎらせながらも優しく最愛の弟の小さな体を抱きしめた。

「私は貴方を絶対に疎んだりしないわ」

「姉さんの嘘つき」

 やっと温の顔に明るみが垣間見られたとき相は喜びのあまりその小さな肩を抱き潰してしまう。温も心を固めていた鎧を外したか、心の中での姉の呼び方を口に出してしまっていた。

「本当よ。私の言葉は話半分に聞いていてちょうだいな。貴方は唯一無二の存在だもの」

「そうですか。こんなにも長く姉さんを見て来たのに理解できていなかったんですね……」

「それはそうよ。だって私達は……」

 お互いだけは絶対に覗く事が出来ないんだからと、相はそれをまるで嬉しい事であるかの如く囁いた。




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