閑話 とある狐の物語
朝起きるとお母さんがいなかった。
どこへいったんだろ。
お腹減ったなぁ。
「一人はこわいよぉ〜。
おいていかないでよぉ〜。
わたし、そんなにわるいこだったの〜?
すてないでよぉ」
大きな声で鳴いても返事はない。
普段ならすぐにきてくれるはずなのに。
こんなことは生まれて初めてだ。
最悪の可能性が頭をよぎる。
「まさかほんとにすてられちゃったの?」
途端に悲しくなってきた。
いつもあんなに可愛がってきてくれたお母さん。
獲物の狩り方を教えてくれたお母さん。
優しい優しいお母さん。
そんなお母さんに二度と会えないなんて考えたくなかった。
でも現実は残酷だった。
1日、また1日と日は過ぎるもののお母さんの姿は見えない。
「ほかの動物のとこにいったのかなぁ」
淡い期待を抱きながらも歩き始めた。
「帰れ!!
狐なんかが来るんじゃねぇ!!」
ツノウサギに追いかけられた。
「ひどいよ。
おかあさんのこときいただけなのに。」
訳もわからず逃げるしかなかった。
行くあてもない。
お腹も減っている。
いつも食べてる木の実もお肉も見つからない。
「ウサギさんにおにくわけてもらえば
よかったなぁ」
いつも食べてるお肉の代わりにはなるだろう。
ご飯があればまたお母さんを探しに行ける。
ご飯さえあれば……。
体が動かなくなった。
お腹が減った。
喉が渇いた。
すぐ目の前に川があるのに飲みにいけない。
すごくもどかしい。
「こんなとこでしにたくないよぉ。」
お母さんを探してどれくらい経ったのであろうか。
身体はボロボロだ。
お母さんにそっくりの自慢の白い毛皮は泥で汚れてしまっている。
「たすけてよぉ、おかぁさん……」
あたりは開けていてよく周りが見渡せる。
どうやら人の作った道のようだ。
お母さんから人間には気をつけるように言われてたのに。
「さいごはにんげんにつかまってしぬのかなぁ」
だんだんと気が遠くなってきた。
本能で命の危機を予測する。
「…………
……………
……ん?」
誰だろうか?
足音が聞こえる。
……走り寄ってきた。
「だいじょうぶか?」
まずい、人間だ‼︎
逃げようにも身体は動かない。
かくなる上は最終奥義だ。
………
………
…なぜか水と肉を分けてくれた。
最終奥義、使ってないのに。
肉は硬いけど贅沢は言えない。
久しぶりのご飯が体に沁みる。
決めた‼︎
私この人間についてく‼︎
この人間ずっとぶつぶつ言ってるけど悪い人じゃなさそうだし‼︎
なんだろ?
呪文かな?
まぁいいか。
「えへへ!!
よろしくね」
カワイイカワイイと言い続けています




