やっとの思いでご飯を手に入れる
綺麗な星月夜だ。
木々の葉の隙間から月明かりが差し込んでいる。
俺は寝ように寝られない。
ただひたすらに自分と向き合っているからだ。
気持ちの整理するためである。
ここは異世界。
日本に戻るなんて絶対できないのだと、ひたすら自分に言い聞かせ続けている。
だが難しい。
俺はこんなところで何をしたら良いのだろうか?
なんの説明もなかったのだから仕方がないだろう。
この世界がどう言ったものなのかわからない。
なんのために俺がいるのかわからない。
いきなり来てしまってなんの情報も持っていない。
そんな俺が生き抜くためにはどうしたら良いのだろうか………。
「………色々深く考えてしまうな」
生きるためには前向きでいないといけない。
暗い気持ちに押しつぶされてはこれからが大変になる。
「別のことでも考えるか」
やりたいことでも考えることにした。
ただただ自分のために………。
こうしてこの日の時間は過ぎていった。
朝になり太陽が登った。
明るいうちにやれることはやっておきたい。
まずは空腹をどうにかする。
昨日、食べられそうなウサギを見てしまったから探すことにした。
可哀想だとは思わない。
俺も生きるのに必死。
生きていれば食欲も湧く。
欲望には抗わないほうが良いのだ。
見つけるのにそう時間はかからなかった。
近くに子ウサギがいた。
子供なのだ。
心の中で葛藤する。
獲るべきか見逃すべきか考えたい。
いやだめだ。
肉にしか見えない。美味しそう。
だが残念。
相手も命がかかっている。
徹底的に反抗してくる。
このウサギ、ツノが生えているのだ。
「ぐッッッ!!」
強烈なタックル。
器用にみぞおちをねらってきた。
服がなかったらツノが刺さっていたかもしれない。
来ている服に感謝だな。
こっちにくる前に作業着で寝ていたのが良かったのだろう。
さてウサギは……。
すでに絶命していた。
刺された時にビックリして殴ってしまったせいだろうか?
頭から血が流れていた。
拠点に戻り、捌くことにした。
金属の刃物はないので石を砕いたかけらで作った石製ナイフでやった。
いわゆる打製石器であろうか?
首を切り、川につけて血抜きをしていたらかなり時間を使った。
何をするにも自分一人だから時間がかかる。
まぁ、好き勝手できるのが救いだと思おう。
料理はシンプルに薄めの平たい石を火にかけて焼くだけだ。
味付けは無し。
調味料なんてある訳ない。
お味はまぁ良い。
ちょっと生臭いが食べられなくはない。
贅沢を言うなら量が欲しい。
成人男性には物足りないのだ。
もう何匹か捕まえて保存食にしておくのもいいだろう。
活動の幅が広がる。
時間を確認。
昼過ぎであろうか?
太陽が上り、日が照っている。
少し暑いくらいだ。
明るいうちにできることをしておきたい。
まずは寝床。
茂みから草を拝借して、ふかふかの寝床を作った。
硬い地面で寝られるなんて到底思えないからだ。
次にトイレ。
今まで川に直接垂れ流していたが、毎度トイレのたびに足首を見ずにつけるのはどうかと思った。
地面に五十センチくらいの穴を掘りそこに用を足すことにした。
使用後は薄く土をかぶせておけば分解されるだろう。
そうこうしていると日が落ちてきた。
トイレに時間をかけ過ぎた。
1日が終わる。
忘れる前に着ている服だけ洗っておくことにした。
衛生状態をよく保つことは生きる上で重要だ。
焚き火の熱で乾かしながら夜を明かす。
ふかふかの寝床のおかげでよく寝られそうだ。
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