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キミに伝える異世界のコト  作者: 久しい田んぼ


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プロローグ

暇時間を潰すため書き始めました。


曲がり曲がった道を走らせ山を抜けるとそこに集落がある。


見慣れた景色だ。


故郷である。


都会の大学に進み、田舎とはかけ離れた生活を送っていた。


だが、混んだ電車、騒音……、どれも自分には合わなかった。


体が都会に向いていないのだ。


都会で生きている自分の姿が想像できなかった。


何しろ自由がない。


どこに行っても人がいる。


やりたいことをするのにいちいち周りの目を気にしないといけない。


ルールを守るのは当然だが、揉め事は起こしたくないものだ。


「全てを投げ出してずっとこっちにいたいなぁ」


田舎ならではの自由を捨てきれないのだ。


故郷にいる人はみんな顔見知りみたいなもの。


基本何をやっても怒られたりはしない。


……もちろん常識の範囲内だがな。


そこらの畑を荒らすと怒られてしまう。


爺さん婆さんが大事にしているからな。


農業の大変さは俺も大学で学んでいるが、実際やってみると別物だった。


小さい頃とは違い今は怒る理由がよくわかる。


「機会がないと時間がかかるんだよなぁ」


やたら高いんだよな。


俺みたいな人じゃ手が出ないだろうな。


……それでも俺は農業に携わりたい。


過去の反省からだ。






そんなことを考えながら運転していると到着した。


長い道のりだった。


延々と乗り続けた車を降り深呼吸。


‥‥空気が美味しい。


日頃の疲れが吹き飛びそうだ。


緑豊かで都会よりも落ち着く。


雰囲気もいい。


周りは似たような古民家ばかりだ。


そのうち一つが我が家になる。


築年数は70を超える。


とても歴史を感じる。


ただかなり劣化が進んでいる。


「ちょっと見なかっただけでこんなに変わってしまうとは思わなかったな………」


ちょっとした浦島太郎状態だ。






「はぁ〜、このままここに残りたい」


ふるさとの味というのかな?


母親の作った料理を食べた。


いつも通りの味の濃さだったがとても懐かしく感じた。


ただ少し見なかった間に老けた気がする。


母親のいない世界を想像してちょっとしんみりした。


………気分を変えよう。


俺は大学を卒業したらこちらに住みたい。


都会じゃできないことをする。


農業やって魚釣って、自給自足をしたい。


政治家になって街を良くするのもいいかもしれない。


まだしばらく時間はかかるが計画を立てるのは大事だ。


周りを見よう。


海、森、森、森…‥、といった感じでなにもない。


何をどうしたらこんなとこに人が集まるのだろうか?


俺には魅力的に見えるが観光客はどうだろうか?


ただの森と海にしか見えないだろうな。


「そもそも人が来れないような場所なんだよなぁ」


交通基盤が弱い。


陸の孤島といった感じだ。


住み続ける分には大丈夫だ。


だが外からやってくる人は辿り着くことすら難しいだろう。


政治家になったらこんなことも考えながら生きていかないといけないのだろうか?


………やめだやめ。


またくだらないことを考えてしまった。


「散歩にでも行こう」


気分を変えるのは大事なことだ。


何か変化を探しに歩き始めた。






いつも通りの日常。


昔と何も変わらない。


家に帰り晩飯を食べた俺は、足早に布団へと潜った。


すでに夜だ。


田舎でこんな時間にできることなどほとんどない。


「明日は何をしようかな」


久しぶりに釣りでもしようか。


それとも農作業の手伝いでもしようか。


なんにせよ時間はある。


明日の行動に備えて作業着で身を包み、俺は夜を明かしたはずだった………。






翌朝のことである。


「あれっ?」


目が覚めると、そこは知らない森であった。


頭がおかしくなったのかな?


そう自分に問いかけても答えは返ってこない。


ほおをつねっても何も変わらない。


「夢じゃないのか」


この時はまだ知らなかった。


俺の身に何が起きたかを。






………こうして君たちがよく知る世界に来たのだ。


俺の名は平井翔也(ひらいしょうや)


異世界に旅立った人間だ。




ミス等あればお知らせください。

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