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転生者なんて負け組だ  作者: 荒野旅人
第三章 ヴァラキア編

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ユキーナの違和感

客間で一息ついているあいだに女性達は別室で服装を整えていた、化粧もだ。

旅の間は軽い化粧しかしてなかったが、折角、宮廷に来たわけだしな。

部屋に戻ってきた時、彼女達のめかしように笑いそうになったが、抑えた。

ソニア辺りが怖い。

それでもソニアには睨まれた。

笑ってないぞ?

俺?

心でも読めるのか?

そう言えば、この世界、元の世界の中世ヨーロッパに酷似しているが女性のお化粧(一部、貴族や王族の男性もするが)が思っているより進んでいることだ。

前世で女性に縁がなかったので、女性の化粧など知識がないのだが、彼女たちの持っている化粧道具が明らかに俺の持っている時代感覚よりも進んでいるのは間違いない。

まるで前世の現代東京と同じとは言わないが、それに近いものを感じる。

前の世界でも化粧は古代からされていたが、中世ヨーロッパでは宗教的な理由で抑制されていたようなことを何かで読んだ覚えがある。

こちらにも宗教はあるが、教えや影響力の強弱には中世ヨーロッパとは大きく違う。

化粧だけは進んでいるんだな。

女性の美への熱い想いの賜物だろう。

すごいことだ。

ソニアはいつもと同じような色使いの服だが、いつものようなラフな感じではない。

何というか宮廷にふさわしい服装だ。

腰から下がスカートのように広がったチュニックの腰には美しいベルト(と呼んでいいのかわかりかねるが)を着けて、シルエットを引き締め、上半身には美しい装飾的なレースがふんだんに使われたカーディガン的なものを着ている。

頭にもティアラ(でいいんだよな?あれ?)を着けていて、別人のようだ。

別に化粧などしなくてもかわいいとは思うが、念入りに化粧をして、こんな服装をされると見入ってしまう。

ソニアに気づかれる前に俺は慌てて視線をそらせた。

その先にはヴィーラがいる。

こちらもまた、別人のようだ。

流石にエルフ族だけあって、もとから神々しいような美形だ。

化粧も最低限のものだが、センスなんだろうか?

わずかな化粧でその美しさを最大限に引き出しているようだ。

女神だ。

ここに女神がいる。

服装はエルフ風の衣装だ。

神々の宿木でエルフ達の正装は散々見てきたから、もう見慣れた感じがする。

あの波乱の内に逃げ出した御前会議でもヴィーラは正装をしていたのだが、その後ワイバーンに乗って飛行した為に見る影もなく服が乱れてしまっていたが、着替えたようだ。

ソニアの話ではヴィーラはかなりこのブラドにも訪れていたようだから、もしかしたら衣服程度の荷物はこの宮殿に置いているのかもしれない。

と思っていたら、ソニアに後から聞いた話では、宮殿内には立派なヴィーラの居室があるそうだ。

よく考えれば、ヴァラキアの人たちからすればヴィーラは重要な存在だ。

この世界で大きな影響力を持ち、敵対的なアルフハイムで唯一と言っていい親ヴァラキア派の人物だ。

しかも、女王陛下様だからな。

ヴィーラはブラドでは大切にされているわけだ。

ユキーナも装い新たにしてきた。

こちらはこの世界にこんな服あるの?

と言った服装だ。

いつも黒装束だが、着替えてきた服も黒づくめだ。

黒い服はヴァラキアでは寧ろ主流だ。

おかしいのは形だ。

ミニスカートだ。

黒のミニスカに丈の短いシャツのような衣服。

へそが見えている。

その上には黒の毛皮の上着を着ている。

渋谷や原宿みたいな前世の俺には無縁だった街を闊歩するギャルのようだ。

この世界では違和感しかないが本人は満足そうだ。

「どうよ?これ?」

「いや、何と言うか…よく似合っているよ。風変りだけどね。」

ユキーナは歪んだような妙な顔をした。

「風変りなのはお前の頭の中だろ。」

そう呟いたように思えたが、もうソニアやヴィーラとお喋りをしていて聞き返せはしなかった。

何かが気になる。

何かがおかしい。

何かが頭の中で狂おしいように叫んでいるんだが、何だかわからない。

そんな感じだ。

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