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りことの思い出

「は?」

「え?」

この男は。なんで歓迎会という名目のこの場で。よりにもよって‥‥‥!


「‥‥‥叔母さん、ごめんなさい。部屋で休みます。皆さんもごゆっくりして下さい。食事はこれからも私が作ることがあるかも知れません。味付けとかの好みなどがあったら言ってください」

だめだ。言い切れたけど、この部屋にいられない。


「あ、さちちゃん!」

叔母さんの声が聴こえる。でもだめなんです。部屋に戻るまで我慢している涙が溢れる。

部屋から出て、外へ出て、自分の部屋に戻る。

そのために必要な数歩。その間に涙が数滴こぼれた。

でもそれを悟られないように静かにドアを閉める。

大丈夫だ。顔を見せなければ泣いてることは気付かれない。


自分の部屋に着く。ドアを背にズルズルとその場に座り込む。膝を抱えて静かに泣く。




あの男は私からあの子を奪った。奪った本人は知らなくて当然かもしれない。でも、私はやるせない気持ちで一杯になった。理屈ではないのだと、思う。

手作りのお弁当を交換した。笑い合いながら、お喋りしながら食べた。

『さちは料理が上手でいいな。私ももっと美味しく出来たら、さちに喜んでもらえるのに』

そんなことないよ。私にとっては、あのお弁当が、りこ(・・)と食べるあの瞬間が何よりも好きだったんだ。アレ以上の喜びなんて罰が当たる。それくらい、嬉しかったよ。


それからは休みの日にお菓子やお昼を一緒に作ることもあった。

仲の良い友達。

は、少し超えてたかな。なんて私は考えてもいいだろうか?

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