放課後の保健室
放課後の保健室。
片山千尋はそこで事務仕事をしていることが多い。
養護教諭としての備品の発注や補充などはすでに終わっており、あとは事務仕事さえ終われば自分に充てられている仕事は終わりである。
が、ここ数日はカウンセラーとしての業務も多く、その記録を残しておくことも増えた。特に先日の自殺未遂の騒ぎから不安定になる生徒も少なからず出ていた。
そんな中で降ってわいた幸運。
自殺未遂をしかけた生徒を助け、その原因となっていた別の生徒を特定。原因からして解決に導いてくれる生徒が現れた。
カウンセラーとしての仕事は増やされたものの、養護教諭としての仕事は大きく減ったのは彼女のおかげなのは間違いない。
さて、その女生徒であるが・・・・・。こちらもややクセが強い。精神的な不安定があり、目をかけるようにとのお達しがあるのだ。
ついでに今現在この部屋にいる。
というか、目の前でコーヒーを飲みながら仕事が終わるのを待っている。
「高田さん、なんでそこにいるのかな?」
「あら、先生は相談事がある生徒を外に放り出すつもりですか?」
「相談ならば、早めに話してくれないかな?」
「話すにも心の準備が必要でして・・・・私に構わずお仕事を進めてください」
「・・・・・・・・・・・・」
と、この通り。ここ数日は休み時間か放課後か、1日一度は保健室に顔を出す。
「・・・・・・・・・。よし、一段落した。話す準備は出来たかい?」
「そうですね・・・・・・コーヒーも飲み終わりましたし。ごちそうさまでした」
「じゃあ「先生」」
「いつからあの構図に気が付いていたのですか?」
「なんのことかな?」
「先生はいわゆるいじめ問題があることをご存知だったはずです。なのに、あそこまで行くまで放置していた。違いますか?」
「根拠はなんだろう?私はあの事件には本当に驚いたんだよ」
「ひとつめに、二河さんが先生のことをよくご存知でした。まるで今回の件よりも前に何度も話をしていたように」
「私は養護教諭だから、何度か話をしたことはあるよ」
「ふたつめに、屋上での騒ぎで先生は一番最初に姿を現していました。屋上からこの部屋まで話しが行くまで時間がかかると思うのですが、まるであらかじめ知っていたみたい」
「それは「みっつめ」」
「二河さん、先生のことお好きだそうですよ」
「・・・・・・勘弁してくれ」
そう言って片山教諭はうなだれた。




