その後の話
お久しぶりです。
まだまだ続きますが、一度着地させようと思います。
「そっか・・・・そんな風になったんだね」
場所は近くにあるカフェ。たすみー。
最近見つけた、隠れ家っぽい場所だ。
目の前にいるのは二河 美月。飛び降り自殺をしかけた人だが、今は療養として学校には保健室へ登校し授業代わりの課題をこなしていると聞く。
店内は音もなく匂いもない。
静寂に包まれているが、細かな雑貨や照明があり居心地が良い。
目の前の小さなテーブルには氷が溶けて薄くなりかけたアイスコーヒーが2つとこのお店独自の紅茶の茶葉を混ぜ込んだマフィンが並んでいる。
今日はその後の顛末をきちんと伝えるためにカフェに呼び出した。
話し合いがなされたその日、あちら側の家族から私は謝罪とお礼をのべられた。
謝罪に関しては『ご自身が楽になりたいだけの謝罪は受け取りません。今後の皆さんの教育・しつけの成果を彼女たちで見させてください。』と伝えた。お礼もまだ彼女たちの犯罪の証拠を私ではなく学校に渡して持っている、ということで納得してもらっている。
学校にはもちろんこの証拠は渡してある。が、無論コピーをしていない、とは言ってない。
「これらの話をしたかったのと、これを渡しておきたかったの」
1本のUSBメモリをテーブルにかちり、と音を立てて置く。
「どう使うかは二河さん次第だし、私にはもういらないものだから」
「・・・・・・・・・うん。ありがとう」
長い沈黙の後、そのUSBメモリを握り込んでからバッグの中にしまった。
結局というか、学校側の決定は保護者呼び出しの上での厳重注意。本来であれば刑事事件にも発展しかけていたことを丁寧に話し、最終的には彼女たちとその保護者たちは顔を青ざめさせていた。
学校としては停学などの処分よりも、彼女たちを更生させるためにより良い手段を選んだのではないかと思う。
あの話し合いから周囲からも浮いている様子なので、それなりには懲りているのではないかと期待する。
不思議なものである。
私を含め誰もあの話し合いのことを他言していないはずなのに、いつの間にか噂が広がっていた。
『犯罪になる手前だった』
学校ではそのワードがヒソヒソとささやかれていた。
「学校には来れそう?」
「うん・・・・・行かなきゃ。いつまでも立ち止まってられないし」
「そ、だね。何かあったら保健室の先生に話せばいいと思うよ」
「片山先生、だよね。そうしてみる」




